それ大丈夫?下請法の支払いサイト規制を徹底解説!何ヶ月までOK?罰則は?

【記事更新 】
2025/06/17
下請法における支払いサイトの規制について、正確に理解している経営者は意外に少ないのが現状です。2024年11月から新しいルールが適用され、従来よりも厳格な基準となりました。違反すると企業名が公表され、過去には数十億円の支払い命令を受けたケースもありました。
この記事では、下請法の支払いサイト規制を分かりやすく紹介します。
下請法の支払いサイトに関する基本ルール
下請法では親事業者(発注者)の支払期日について、明確なルールが定められています。適切な支払期日の設定は、下請事業者の資金繰りを保護し、公正な取引関係を維持するために不可欠です。
違反すると重いペナルティが科されるため、しっかりと知識を身につけておきましょう。
支払いサイトの上限は「受領から60日以内」
下請法では、支払いサイトは長い場合でも「親事業者が下請事業者から物品等を受領した日から起算して60日以内」と定められています。役務提供委託(サービス業務の委託)の場合では、下請事業者の役務の提供から60日以内です。
下請法の実務上の運用では、「60日以内」は「2か月以内」として扱われています。つまり、31日の月も30日の月も同じく1か月として計算されるため、月末締めの翌月末払いであれば、受領日が月内のいつであっても60日以内に収まります。
逆に、毎月末日納品締切で翌々月10日支払いといった設定には注意が必要です。受領日によっては60日を超えてしまうため違反となります。
2024年11月から規制が強化されている
2024年11月から、手形、電子記録債権、一括決済方式による支払いについて、新たな規制が導入されました。交付から満期までが60日を超える場合、下請法の定める「割引困難な手形等」に該当する恐れがあり、行政指導の対象となります。
従来のルールでは、業界の商慣習を考慮し、繊維業は90日、その他の業種は120日を超えるサイトが指導対象となっていました。しかし、新たなルールでは、全業種一律で60日に短縮されています。
規制強化により、手形等で支払いを行う企業は、サイトの見直しや現金払いへの切り替えを迫られています。
支払期日を定めない場合は「受領日=支払期日」に
支払期日を定めなかったケースでは、親事業者が下請事業者の商品・役務を受領した日が支払期日です。つまり、給付を受けた当日に支払わなければ違反となってしまいます。
こうしたリスクがあるため、支払期日は口約束ではなく、必ず書面で明確に定めておかなければなりません。
下請法違反時の罰則と措置内容
下請法に違反した場合、公正取引委員会による調査や指導が行われます。違反内容によっては刑事罰の対象となります。経営者は法令遵守の重要性を十分に認識しなければなりません。
公正取引委員会による指導と勧告
公正取引委員会は、毎年親事業者と下請事業者に対して、下請法の違反事由がないか、書面による調査を実施しています。令和3年度の調査では8,464件の下請法違反被疑事件が発見されており、いかに違反が多いか分かるでしょう。
法令違反が発覚すると、まず指導が行われ、重大な違反については勧告が出されます。勧告を受けた場合、企業名、違反の概要が公表されるため、社会的信用が失墜することは避けられません。
また、下請代金を減額したり、遅延したりした場合は、その返還や遅延利息の支払いなど、金銭的な負担も発生します。有名な事例では、生協が約26億円の代金減額と約13億円の遅延利息、合計39億円の支払いを命じられました。
公正取引委員会からの勧告に従わない場合は、独占禁止法に基づく排除措置命令や課徴金納付命令が出される可能性があり、さらに重いペナルティを受けることになります。
刑事罰の対象となることも
下請法違反のうち、特定の行為については刑事罰の対象です。発注書面の交付義務や書類の作成・保存義務を怠った場合、違反した個人と法人の双方に50万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、公正取引委員会や中小企業庁による書面調査に対する虚偽の報告や、報告をしない、立入検査を拒否・妨害した場合にも、同じく50万円以下の罰金の対象になります。
企業の社会的信用に大きなダメージを負う
下請法違反による影響は、罰金や支払い命令だけにとどまりません。
公正取引委員会から勧告を受けると、企業名と違反の概要が公表されるため、取引先からの信頼を失う恐れがあります。金融機関からの融資審査においても、法令遵守の姿勢は重視されるため、下請法違反の履歴は大きなマイナス要因です。
新規事業の展開や設備投資の際に、必要な資金調達ができなくなるリスクも考えられます。継続的な取引関係を維持し、企業の信頼性を保つためには、下請法の正確な理解と遵守が欠かせません。
ファクタリングで支払いサイト短縮に対応
支払いサイトの規制強化により、多くの企業で資金繰りの見直しが必要となっています。法令を遵守しながら安定した経営を続けるためには、効果的な資金調達手段の活用が不可欠です。
支払いサイト規制で生じる資金繰りの課題
60日以内の支払いルール徹底により、従来よりも早く資金の準備が求められるようになりました。特に手形取引に依存していた企業では、現金払いへの切り替えにより、一時的に資金繰りが厳しくなる可能性があります。
例えば、建設業や製造業では、材料費や外注費の支払いが先行し、売上の回収が後になる傾向があります。支払いのための資金をいかに調達するかは、企業運営の課題といえるでしょう。
業界全体で支払条件改善に取り組む必要がありますが、企業レベルでも対応策を講じておくことが重要です。資金調達の手段を多様化し、急な資金需要にも対応できる体制を整えることで、資金繰りがショートするリスクを抑えられます。
ファクタリングによる即日資金調達の仕組み
ファクタリングは売掛金を売却することにより、期日より早く現金化できる資金調達方法です。
ファクタリングには、ファクタリング会社と依頼者で行う2社間ファクタリングと、取引先への通知が必要な3社間ファクタリングがあります。
2社間ファクタリングでは、利用企業とファクタリング会社の間で契約を締結し、売掛先への通知は行いません。手続きも簡潔で比較的現金化も早い傾向がありますが、手数料は3社間より高めに設定されています。
一方、3社間ファクタリングでは売掛先の同意を得て取引を行うため、手数料を抑えることが可能です。ファクタリングの活用により、原料の支払いや給与などの運転資金確保、受注増加に伴う設備投資資金の調達などを円滑に行えます。
計画的な資金調達で法令遵守を実現
下請法の遵守とファクタリングの活用を組み合わせることで、健全な資金繰り管理が実現できます。売掛金の回収サイクルを把握し、支払期日に確実に間に合うよう計画的に資金調達を行うことが重要です。
継続的にファクタリングサービスを利用して、ファクタリング会社の得意先になれば、より良い条件での取引が期待できます。審査の簡素化や手数料の優遇など、長期的なメリットも享受できるでしょう。
ファクタリングを適切に利用することにより、取引先との良好な関係を維持しながら、法令を遵守した事業運営が可能です。
自社の資金繰りが厳しく60日以内の支払いに対応できるか不安なときは、ファクタリングを活用したキャッシュフローの改善も検討してみてください。当社では、「支払いに間に合わないかもしれない」「このままでは給与が支払えない」といった経営者の方からの相談を随時受け付けております。
資金繰りでお悩みであれば、ぜひ当社までご相談ください。経験豊富なスタッフが、スムーズな資金調達をお手伝いします。