ファクタリングの法的根拠は?融資との違いも徹底解説!

ファクタリングの法的根拠は?融資との違いも徹底解説!

【記事更新 】

2022/03/15

最近、中小企業や個人事業主などの新たな資金調達の形として、ファクタリングが注目を集めています。売掛債権をもとにしたこの資金調達方法ですが、法的根拠がどこにあるのかよくわからず、利用に不安を感じる方も多く見られます。

また、ファクタリングと融資とはどう違うのか?同じように売掛債権をもとにした資金調達法である、売掛債権担保融資(別名、ABL)とは何が違うのか、といったことで迷われる方もいます。

そこで今回は、ファクタリングの法的根拠についてまず解説し、ファクタリングと融資の違いについて、基本的な話から利用時の実際的な違いまで、比較しつつ説明をしていきます。

ファクタリングの法的根拠を解説

ここでは、ファクタリングの法的根拠について解説をしていきます。この法的根拠のポイントは、「債権譲渡自体は法律で許可されているものである」ということと「同じファクタリングでも2社間ファクタリングと3社間ファクタリングでは、法的根拠が少し異なる」ということです。

債権譲渡は法律で許可されている

まず第1に、ファクタリングに大きく関連してくる、売掛債権の譲渡についてですが、売掛債権に限らず、債権の譲渡は法律で(後述する民法第466条で)許可されているものです。

ただし、ファクタリングには大きく分けて、利用者とファクタリング会社の間だけでやり取りをする2社間ファクタリングと、利用者と取引先(売掛先)、そしてファクタリング会社でやり取りをする3社間ファクタリングの2種類があり、それぞれで法的根拠が違ってきます。

2社間ファクタリングの場合

2社間ファクタリングを支える法的根拠は、売買についての民法第555条になります。

民法では売掛債権は財産権、すなわち「自由に譲渡できる財産」とされており、売掛先に通知せずに売掛債権、およびそれに関連するものを売買することも、法律では禁止されていない、というわけです。

なお、民法第555条の条文は以下の通りです。

民法第555条(売買)
売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

3社間ファクタリングの場合

3社間ファクタリングを支える法的根拠は、債権の譲渡性についての民法第466条と、指名債権の譲渡の対抗要件についての民法第467条になります。

まず、民法第466条によって、(売掛債権のような)債権を譲渡することが法律によって許可されていることがわかるかと思います。

ただし、民法第467条によって、債権の譲渡においてトラブルの発生を防ぐためには、いくつか必要なことがあることがわかります。

まず、「ファクタリングの利用者から債務者(売掛先)への債権譲渡の通知」をする必要があります。

それから「債務者(売掛先)の承諾」です。つまりファクタリングを利用することを売掛先に認めてもらわないといけないわけです。

そして「債権譲渡登記などの、確定日付のある証書」です。個々の契約によって多少の変化はあり得ますが、この3点セットが必要である、というわけです。

なお、民法第466条および第467条の条文は以下の通りです。

民法第466条(債権の譲渡性)
債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。

民法第467条(指名債権の譲渡の対抗要件)
指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

ファクタリングと融資の違いは?

ここでは、資金調達の方法であるファクタリングと融資の違いについて、基本的な点から実際的な点までをみていくことにします。

法的根拠の違い

基本的な違いは、法的根拠の違いです。

融資は貸金業法に基づくものです。融資を行う業者は貸金業に登録していなければいけません。無登録の貸金業者はいわゆる「闇金」と呼ばれるものにあたり、法外な利息や無理な取り立てなどで、多くのトラブルを生んでいます。

一方、ファクタリングは前述したように、債権譲渡に関する民法(前述)が根拠になります。融資とは異なるため、ファクタリング会社は貸金業に登録している必要はありません。ですが、それゆえに、融資の時には可能な融通性をファクタリングは持ちません。

調達できる資金の違い

利用者の観点から見た実際的な違いの1つめは、調達できる資金の違いです。

融資は審査によって金額が異なってきます。利用者のもつ担保や利用者自身の信用など、様々な観点から審査され、場合によっては最大億単位の融資も可能なことがあります。

一方、ファクタリングはあくまで売掛債権のやり取りによる資金調達です。つまり、売掛金が限度額となります。さらにいえば、ファクタリング会社は手数料をとるので、売掛金よりその手数料分を下回る額が実際に調達できる金額となります。

返済期間・方法の違い

実際的な違いの2つめは、返済期間や方法の違いです。そして、この違いはファクタリングにまつわるトラブルを産みやすい点でもあります。

融資は分割で数年にかけて返済していくのが一般的です。この分割による返済は、貸金業法によって支えられている方法です。

一方、ファクタリングは売掛先から入金されたら定められた期日までに一括で返金しなければいけません。上述のように、ファクタリング会社は基本的には貸金業ではありません。それゆえに、貸金業法によって可能となる分割での返金や、返金期日の先延ばしは、かなり難しいものであると考えてください。

審査対象の違い

実際的な違いの3つめは、審査対象の違いです。

融資は借りる側(自社)が審査されるものです。それゆえに、借りる側が例えば過去に借金をしてトラブルを起こしていたり、現在すでに借金を抱えているなどの場合には、厳しく審査されることになります。場合には、融資を受けられないことも多々あります。

一方、ファクタリングでは、メインで審査されるのは売掛先(債務者)側になります。

ファクタリング会社としては、金額を回収できるかどうかが重要です。つまり肝心なのは売掛先(債務者)がきちんとお金を準備できる状態にあるのかが、ポイントになってくるわけです。

つまり、ファクタリングは売掛先の状況がよければ利用できる資金調達法です。かりに、利用者側が金融ブラックの場合でも、ファクタリングを利用可能なケースもあります。

もっとも逆に、利用者側がいくら状況がよくても、売掛先(債務者)の状況がよくなければ、ファクタリングを利用できないケースもあります。ご注意ください。

審査スピードの違い

実際的な違いの4つめは、審査スピードの違いです。

融資には審査に時間がかかります。利用者の信用情報や持っている担保の将来性、安全性など様々な観点から、金融機関や専門機関が審査をする必要があるためです。融資額が巨額になればなおさらです。売掛債権担保融資(ABL)もこれに該当します。

一方、ファクタリングは最速で即日で入金が可能です。急ぎの現金化が必要な時になどには、非常に心強いサービスといえます。

【今回のまとめ】
ファクタリングは法的根拠◎!安心して利用を
今回は、新たな資金調達方法として注目を集めているファクタリングについて、その法的根拠や融資との違いを説明してきました。

ファクタリングというものが、決して怪しいものではなく、民法などの法的根拠に基づいた資金調達法であることがお分りいただけたかと思います。

融資にも長所や短所があるように、ファクタリングにも長所や短所はあります。審査のハードルの低さや入金までのスピードが大きな長所と言えるファクタリング。資金繰りにお悩みの方は、その辺も踏まえた上でファクタリングの利用をぜひ検討してみてください。
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