ファクタリングの税務処理と消費税の扱いを解説

ファクタリングの税務処理と消費税の扱いを解説

【記事更新 】

2026/05/27

ファクタリングを利用する際、「税務処理はどうすればいいのか」「手数料に消費税はかかるのか」という疑問を持つ経営者は少なくありません。ファクタリングは比較的新しい資金調達手段であるため、経理担当者でも処理方法が不明確なことがあります。

本記事では、ファクタリングを利用した場合の帳簿上の処理方法、消費税の扱い、そして税務上の注意点をわかりやすく解説します。顧問税理士に相談する前の基礎知識として、ぜひ参考にしてください。

ファクタリングの法的・経済的な性質を理解する

ファクタリングは売掛金の売買取引

ファクタリングは、企業が保有する売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に売却する取引です。金融機関から資金を借り入れる「融資」とは法的に異なり、資産(売掛金)を売却して現金を得る取引です。この性質の違いが、税務処理に直接影響します。

融資の場合、受け取った資金は「借入金」として負債計上し、返済時に負債を減少させます。一方、ファクタリングは売掛金という資産を現金と交換する取引であり、借入金は発生しません。

2社間・3社間での法的構造の違い

ファクタリングには売掛先(取引先)への通知なしで行う「2社間ファクタリング」と、売掛先に通知・承諾を得て行う「3社間ファクタリング」があります。どちらの方式でも、経理処理の基本的な考え方は同様です。ただし3社間の場合、売掛先からの入金先がファクタリング会社に変更になるため、入金処理の経路が変わる点に注意が必要です。

ファクタリング利用時の基本的な帳簿処理

売掛金売却時の仕訳

ファクタリングを利用した際の基本的な仕訳は以下のようになります。たとえば100万円の売掛金をファクタリング会社に売却し、手数料10万円を差し引いた90万円が入金されたとします。

この場合の仕訳は、「現金預金 900,000円 / 売掛金 1,000,000円」「売上債権売却損 100,000円 / 売掛金 0円」となります。実際には借方に「現金預金 900,000円」と「売上債権売却損 100,000円」を計上し、貸方に「売掛金 1,000,000円」を計上する形です。

手数料(差額)は「売上債権売却損」として損金処理します。勘定科目名は会社によって「債権売却損」「手形売却損」「ファクタリング手数料」などを使用する場合もあります。顧問税理士と相談のうえ、自社の勘定科目に統一することをお勧めします。

2社間ファクタリングにおける売掛先からの入金処理

2社間ファクタリングでは、売掛先(取引先)はファクタリングの利用を知らないため、通常どおり利用者(自社)の口座に代金を振り込みます。この入金はすでにファクタリング会社に売却済みの売掛金に対応するものなので、自社の預金口座に入金された段階で、ファクタリング会社へ送金する処理が必要です。

仕訳例:売掛先から入金時「普通預金 1,000,000円 / 未払金 1,000,000円」(ファクタリング会社への送金債務として計上)、ファクタリング会社への送金時「未払金 1,000,000円 / 普通預金 1,000,000円」となります。

3社間ファクタリングの場合の処理

3社間ファクタリングでは、売掛先がファクタリング会社に直接代金を支払うため、自社口座への入金が生じません。売掛金の売却時点で売掛金が帳簿から消え、手数料分が損失として計上される処理で完結します。入金の経路が変わるだけで、損益への影響は2社間と同じです。

ファクタリング手数料の消費税の扱い

ファクタリング手数料は消費税が非課税

ファクタリングの手数料(売掛金の額面と売却額の差額)は、消費税の非課税取引に該当します。消費税法上、金銭債権の譲渡(売掛金の売却)は非課税取引として定められているため、ファクタリング会社から請求される手数料に消費税は含まれません。

これは、ファクタリングが「金融取引」に類するものとして消費税の非課税規定が適用されるためです。利用者側にとっては、手数料の金額に消費税が上乗せされないため、実質的な資金調達コストが予想通りに収まるという点でメリットがあります。

消費税の仕入税額控除への影響

ファクタリング手数料が非課税取引であるため、仕入税額控除(課税仕入れ)の対象にはなりません。消費税の申告において、課税売上割合の計算や個別対応方式の処理に影響する場合があります。課税売上と非課税売上の両方がある事業者は、ファクタリングの利用頻度が課税売上割合に影響することがあるため、消費税の申告処理を担当する税理士に確認することをお勧めします。

インボイス制度との関係

2023年10月から導入されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)において、ファクタリング取引は非課税取引であるため、適格請求書の対象外となります。ファクタリング会社から発行される書類はインボイスではなく、仕入税額控除の対象外となります。この点は制度導入後に混乱が生じやすい部分ですので、経理担当者と顧問税理士が認識を共有しておくことが重要です。

法人税・所得税上の取り扱い

手数料(売却損)は損金として全額算入できる

ファクタリングを利用した際の手数料(売上債権売却損)は、法人税の計算上、損金として算入できます。資金調達のために必要な費用であることが明確であれば、課税所得の計算において控除が認められます。個人事業主の場合も、所得税の計算において必要経費として算入できます。

ただし、手数料の金額が著しく高額で経済的合理性に欠けると判断される場合(たとえば法外な手数料を求める悪質なケース)には、税務調査で否認されるリスクがないとは言えません。通常の市場水準の手数料であれば問題ありません。

売掛金の売却損計上のタイミング

ファクタリングによる売却損は、売掛金を実際にファクタリング会社に売却した時点(契約締結・入金確認時)で計上します。売掛先への支払い期日ではなく、ファクタリング取引が成立した時点が損失計上のタイミングです。期末をまたいで取引が行われる場合は、決算期をまたぐタイミングに注意が必要です。

2社間ファクタリングの未送金残高の処理

2社間ファクタリングでは、売掛先からの入金を自社が受け取り、ファクタリング会社に送金するまでの間、一時的に「未払金」として負債計上する期間が生じます。決算期末時点でこの未払金が残っている場合は、適切に計上されているかを確認する必要があります。送金前の残高が漏れなく負債計上されていることを確認してください。

税務上のリスクと注意点

架空売掛金を使ったファクタリングは絶対に禁止

実態のない売掛金(架空の請求書)を作成してファクタリングを利用することは、詐欺罪や文書偽造罪に該当する重大な違法行為です。また、架空の損失を計上することになるため、法人税の申告においても脱税行為とみなされます。資金繰りが厳しくなっても、架空の売掛金を使ったファクタリングは絶対に行ってはなりません。

同一売掛金の二重売却(二重譲渡)は犯罪

すでにファクタリング会社に売却済みの売掛金を別のファクタリング会社にも売却する「二重譲渡」は、詐欺罪に問われる犯罪行為です。複数のファクタリング会社を利用する場合でも、売却済みの売掛金が重複しないよう、自社での管理体制を整備することが必須です。

顧問税理士への報告と確認を怠らない

ファクタリングは比較的新しい資金調達手段であるため、顧問税理士がファクタリングの処理に不慣れな場合もあります。利用を開始する前に、顧問税理士に取引内容を説明し、適切な仕訳科目や処理タイミングの確認を行うことをお勧めします。特に2社間ファクタリングにおける未払金処理や、消費税申告における課税売上割合への影響については、事前の確認が重要です。

【今回のまとめ】
ファクタリングの税務処理と消費税の扱いを解説
ファクタリング手数料は消費税の非課税取引に該当するため、手数料に消費税は加算されません。帳簿上は売掛金の減少と売上債権売却損の計上で処理し、法人税・所得税の計算では損金として全額算入できます。

2社間ファクタリングでは売掛先からの入金を一時的に未払金として計上し、ファクタリング会社への送金時に相殺する処理が必要です。

課税売上割合への影響や期末をまたぐタイミングの処理については、顧問税理士への事前確認を怠らないことが重要です。

 

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