ファクタリング利用が銀行融資の審査に与える影響はあるのか?

ファクタリング利用が銀行融資の審査に与える影響はあるのか?

【記事更新 】

2026/03/17

銀行融資と比べると比較的利用しやすい資金調達法がファクタリングです。しかし、ファクタリングだけで資金調達のすべてが賄えるというわけではありません。普段ファクタリングを利用していることで、いざというときの融資審査に悪影響があるようではファクタリングは利用しにくくなります。

ファクタリングを利用したということが、銀行の融資審査にどのような影響を与えるのか、この点を中心に解説していきます。

ファクタリングが銀行融資に与えるポジティブな影響

ファクタリングを利用することで銀行の融資審査にどのような影響があるのかを、ポジティブな影響とネガティブな影響に分けて解説していきます。まずはポジティブな影響に関して解説していきましょう。

信用情報に影響がない

ファクタリングは手元にある売掛債権をファクタリング会社に譲渡することで、売掛金を入金期日前に現金化する資金調達法です。ファクタリングで結ばれる契約は債権譲渡契約であり、借り入れ契約ではありません。つまり、自社の負債を増やすことなく現金を調達できる方法です。

銀行が融資審査を行う際、信用情報は信用情報会社に確認します。信用情報会社には申し込んだ企業の負債等に関する記載はありますが、ファクタリングの利用は記載されません。また、ファクタリングを利用することで負債を返済していれば、むしろ信用情報はより好印象を与えるものとなります。

自社で作成するバランスシートもキレイな状態を保てますので、融資審査においても良い印象を与えるのは間違いありません。

自己資本比率が向上する

ファクタリングにより売掛債権を譲渡すると、売掛金が減ります。また売却益として現金を受け取りますので現金は増えます。自己資本比率とは、総資産のうち何%が自己資本かを表す数値ですので、総資産(売掛金)が減少し、自己資本(現金)が増えるということは自己資本比率が向上することになります。

銀行による融資審査ではこの自己資本比率も重要な判断材料です。自己資本比率が高いほど審査には通過しやすくなるのが基本的な考え方ですので、ファクタリングを利用することで融資審査に通りやすくなる可能性が考えられます。

ファクタリングが銀行融資に与えるネガティブな影響

ファクタリングの利用が融資審査に与える影響はポジティブなものだけではありません。場合によってはネガティブな印象を与えることもあり、この点には注意が必要です。

ファクタリングの利用過多は経営不安の印象を与える

ファクタリングは企業にとって資金調達法のひとつです。このファクタリングをたびたび利用しているということは、資金面で厳しい状況が頻繁に発生していると考えられます。銀行の融資審査で重視されるのは、将来にわたってしっかり返済を続けていけるのかという返済能力です。たびたび資金繰りが厳しくなり、ファクタリングという資金調達法を利用しないと乗り越えられない企業であるという判断がされれば、当然ですが融資審査にも悪影響が出るでしょう。

違法業者を利用していると信用問題に

ファクタリング会社を名乗る会社の中には、残念ながら違法業者、悪徳業者が存在します。例えば貸金業者を開業する場合は、資格の取得も必要ですし、地方自治体に申請を出し、登録をする必要もあります。しかし、ファクタリングに関してはこうした法律がありません。つまり貸金業者登録なしで、誰でも比較的簡単に開業できるという特徴があります。そのためいわゆる闇金業者のような悪徳業者が紛れ込んでいる可能性が否定できません。

例如利用しているファクタリング会社が違法業者であり、さらに反社会的団体と繋がりがある場合、銀行としては融資をしないという決断をする可能性が高くなります。融資をしないどころか、反社会的団体と繋がりのある企業であると判断されれば、一切の契約を拒否される可能性もあります。

ファクタリング会社を選ぶ際は、こうした可能性も加味して、何より違法業者と契約をしないように注意することが重要です。

ファクタリングの利用が銀行に知られるケース

ファクタリングは融資審査において有利にも不利にも働きます。特に不利になるケースを考えた場合、問題となるのは銀行がファクタリングを利用していることを知った場合です。ファクタリングの主な契約方法を考えると、特に銀行に何か報告をしなければいけないという契約はありません。基本的には銀行に知られることなく利用できるのがファクタリングです。

では、どのようなシーンで銀行が申し込み企業のファクタリング利用を知ることになるのか、そのパターンをいくつか紹介しましょう。

売掛金の減少を見抜かれる

ファクタリングを利用すると、自社の経理台帳の上で「売掛金」が減少します。融資審査を申し込む場合は、ある程度経理に関する書類の提出が求められますが、実際の経営状態と比較して、売掛金の金額が低すぎると判断した場合、銀行の担当者はファクタリングの利用を疑います。

もちろんファクタリング自体は合法な資金調達法です。中小企業庁などがHP上で利用を推奨するほどですので、利用していること自体に問題はありません。しかしどの程度の頻度で利用しているのか、どのようなファクタリング会社と契約しているのかに関しては融資審査でも確認すべき項目となります。

また、ファクタリングを利用した際の手数料に関しては、経理の処理上「売掛債権売却損」などの科目で処理されますので、こうした書類を提出している場合は、銀行にファクタリングの利用を知られる可能性が高くなります。

登記情報を確認される

特に2社間ファクタリングの場合、債権譲渡登記が行われるケースが多くなります。債権譲渡登記とは、売掛債権が譲渡された事実を、法務局に登記することで、その債権の所有権は自社にあることをファクタリング会社が証明するために行われます。

売掛債権とは実際には目に見えない権利のことです。そのためすでに他者に売却済の売掛債権かどうかを見抜くのが難しくなります。万が一他者がその債権の所有権を主張してきた際、それに対抗する材料として登記を行うわけです。

登記された情報に関しては、第三者でも希望をすれば閲覧可能です。銀行の融資担当者がこの登記情報を確認すると、ファクタリングを利用していることが判明してしまいます。

銀行の融資担当者が、いきなり登記情報の確認をするというケースはあまり考えにくいかもしれません。ただし、上記のように経理書類上で疑わしい記載があった場合には、登記情報の確認を行う可能性はあります。

銀行融資を意識した上手なファクタリング活用法

銀行融資とファクタリングを併用すると考えた場合、ファクタリングをどのように利用するのが最適か、その活用法などを解説していきましょう。

違法業者とは契約しない

まずは何よりの絶対条件となるのが、違法業者と関わらないことです。違法業者と関わると、高額な金利の貸し付け行為を行われたり、違法な取り立て行為を受け、自社の活動に影響が出るケースが考えられます。また上記の通り、こうした反社会的団体との繋がりがあることは、その後の取引にも悪影響を与えます。場合によっては取引先がいなくなり、倒産という可能性も否定できません。違法業者には決して近づかないようにしましょう。

違法業者の見抜き方に関して、いくつか象徴的なポイントをまとめていきます。

違法業者の特徴として、まともに事務所を構えていないケースがあります。また、事務所はあっても連絡先が携帯電話番号など、企業としては考えられない会社も避けるべきと言えます。

ファクタリング会社が売上として計上するのは、手数料の部分です。つまり手数料0という条件はあり得ないということです。同じくファクタリング会社が審査なしで契約条件を決定することもあり得ません。急ぎ現金が必要な状況では、こうした情報は魅力的ではありますが、冷静に考えてあり得ないような文言を掲げている会社は疑ってかかるべきでしょう。

契約を交わす段階で、不明点や不安な点を質問しても、担当者から明確な答えが返ってこないケースも怪しいと考えていいでしょう。説明しないということは、契約内容に知られたくない部分があるか、そもそも担当者が契約内容を把握していないかです。違法業者ではなくても、あまりおすすめできる業者ではありませんので契約せずにほかの会社を探すようにしましょう。

必要な時に必要な金額のみ利用する

ファクタリングは一時的な現金不足を解消するために利用するのがおすすめです。そのため必要なタイミングに、必要な金額のみ利用するのがいいでしょう。ファクタリングでは売掛金の一部だけをファクタリングするという契約も可能です。100万円の売掛債権で申し込み、売掛金のうち30万円分だけファクタリングするという契約ができるということです。

必要なタイミングで必要な分だけファクタリングを利用しているのであれば、融資審査への悪影響も最小限にすることができるでしょう。

債権譲渡登記不要のファクタリング会社を探す

ファクタリングの利用を知られる可能性を下げるのであれば、債権譲渡登記なしで契約できる会社を選ぶのも一つの方法です。ただし、2社間ファクタリングで登記なしで契約できるか会社はそう多くはありません。契約条件を他社と比較して吟味するのも難しくなるでしょう。また比較検討することが難しいということは、好条件で契約できる可能性も下がるということです。この点を意識しておきましょう。

銀行融資とファクタリングの徹底比較

銀行融資とファクタリングは、どちらも「資金調達」という目的は同じですが、その性質は正反対です。以下の比較表で、融資審査への影響を整理しましょう。

銀行融資(借入) ファクタリング(債権譲渡)
契約の性質 金銭消費貸借契約(借金) 債権譲渡契約(資産の売却)
貸借対照表(B/S) 負債(借入金)が増える 資産(売掛金)が減り、現金が増える
自己資本比率 低下する 向上(改善)する
信用情報への記録 記録される(全金融機関で共有) 記録されない
審査の重点 自社の決算内容・返済能力 売掛先の支払い能力
銀行への影響 借入枠を消費する オフバランス化により評価向上も

ポイント:オフバランス化とは? 資産(売掛金)を貸借対照表(バランスシート)から切り離すことで、財務内容をスリム化することです。これにより、自己資本比率やROA(総資産利益率)などの財務指標が改善され、銀行からの評価が高まる効果が期待できます。

【今回のまとめ】
ポジティブな印象を与えるケースの方が多い
ファクタリングを利用することで、銀行融資の審査にポジティブな印象を与えるケースが多いと考えられます。ただし審査に悪影響を及ぼすケースもありますので注意が必要です。

大事なのは銀行融資やファクタリングという資金調達法の特徴を知り、最適な場面で最適な利用方法を考えるということです。きちんと特徴を把握していれば、銀行融資とファクタリングを上手に併用していくことも可能です。
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