上司・経営者向けハラスメントの基礎知識!辞めさせないために抑えたいポイント

上司・経営者向けハラスメントの基礎知識!辞めさせないために抑えたいポイント

【記事更新 】

2025/06/10

近年、職場でのハラスメントに関する相談件数が増加傾向にあり、従業員の離職や企業イメージの低下といった深刻な影響を招く事例が目立ってきました。特に人材確保が難しい中小企業にとっては、貴重な人材の離脱が経営に直結する重大なリスクとなり得ます。

本記事では、ハラスメントの基礎知識や主な種類、法的な責任、企業が講じるべき対策について、経営者や管理職の方に向けてわかりやすく解説します。従業員が安心して働ける職場づくりの第一歩として、正しい理解と予防策を身につけましょう。

ハラスメントの基礎知識を正しく把握しよう

職場でのハラスメント問題を防ぐためには、経営者や管理職が正確な知識を身につけることが不可欠です。法的な定義や具体的な事例を理解し、適切な業務指導との違いを明確にしておきましょう。

職場で問題となる主要なハラスメントの種類

ハラスメントにはさまざまな種類がありますが、法令や厚生労働省のガイドラインに基づき、企業に対策が求められている主なハラスメントは次のとおりです。

パワーハラスメント(パワハラ)は、職場における優越的な関係を背景に、業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与え、就業環境を悪化させる行為を指します。上司から部下への暴言や過度な業務命令が典型です。

セクシュアルハラスメント(セクハラ)は、性的な言動により労働者が不利益を受けたり、職場環境が悪化したりする行為です。身体的接触に限らず、性的な冗談や容姿に関する発言もセクハラと見なされることがあります。

マタニティハラスメント(マタハラ)は、妊娠・出産・育児を理由とする不当な取扱いや発言などによって、女性労働者の就業環境を不当に害する行為です。たとえば「妊娠したら迷惑」といった発言や、制度利用を妨げる言動などが該当します。

パワハラ防止法で定められた3つの要件

パワーハラスメントについては、2022年4月からすべての企業に防止措置が義務付けられました。法律上の定義では、3つの要件をすべて満たす行為がパワハラに該当します。

第一の要件は「優越的な関係を背景とした言動」であり、これは職務上の地位や人間関係などにより、相手が抵抗や拒否をしづらい状況を利用する行為です。

第二の要件は「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」で、業務上の正当な指導を逸脱した過剰な要求や執拗な叱責などが含まれます。

そして第三の要件は「労働者の就業環境が害されるもの」であり、精神的・身体的な苦痛を与え、働きづらい状態を生じさせることです。

正当な指導とハラスメントの境界線を理解しよう

厚生労働省では、パワハラを6つの類型に分類しています。これらを把握しておくことで、業務指導との違いを明確に理解しやすくなるでしょう。

具体的には、殴る・蹴るなどの暴行をともなう「身体的な攻撃」、人格を否定する発言や長時間の叱責などの「精神的な攻撃」、意図的な無視や会議からの排除といった「人間関係からの切り離し」が挙げられます。

また、明らかに遂行困難な業務を一方的に押し付ける「過大な要求」、本来の職務と著しくかけ離れた簡易な作業ばかりを与える「過小な要求」、さらには私生活に過度に干渉するような「個の侵害」も含まれます。

一方で、遅刻や業績不振に対する注意、安全確保のために必要な厳しい指導などは、適切な範囲で行われる限りパワハラには該当しません。感情に任せず、事実に基づいた冷静かつ建設的な指導を行うことが、職場環境の維持において重要です。

ハラスメントが企業に与える深刻な影響とは

ハラスメントは、単なる個人間のトラブルにとどまらず、企業全体の経営基盤に深刻な影響を及ぼすリスクをはらんでいます。特に、人材不足が続く現代においては、一人の離職が組織全体に与える打撃が大きく、ハラスメント対策の重要性はさらに高まっているのです。

従業員の離職と人材確保への悪影響

職場でハラスメントが発生すると、当事者の離職だけでなく、周囲の従業員の士気にも悪影響を及ぼします。新卒者の約3割が3年以内に離職する現状の中で、職場環境の悪化がその傾向に拍車をかけていると考えられるでしょう。

また、離職によって失われるのは人材だけではありません。一人の従業員が離職すると、採用から教育までのコストが無駄になるだけでなく、新たな採用にもコストが発生します。

特に建設業やIT業など、技能や経験が重視される職場では、ベテラン従業員の離職は業務に直結するダメージとなる場合があります。さらに、能力の高い人材ほど、転職市場での引く手あまたであり、職場に問題があれば早期に転職してしまう傾向が強いです。

企業の社会的信用失墜と経営への打撃

近年では、ハラスメント問題が発覚すると瞬時にSNSで拡散され、企業の評判に致命的な打撃を与えます。口コミサイトや転職サイトでの悪評は、新たな人材確保が極めて困難になることも。「あの会社はハラスメントがひどい」という評判が定着すると、新たな人材の確保が困難になります。採用活動に深刻な支障をきたすでしょう。

また、取引先企業においても昨今はコンプライアンスへの関心が高まっているため、契約の継続や新規受注に悪影響が及ぶ可能性があります。特にBtoBのビジネスでは信頼関係が重視されるため、ハラスメント問題のある企業との取引を避ける傾向が強まっているのです。

さらに、金融機関からの融資審査においても、ガバナンス体制の不備として評価されるリスクがあります。企業としての信用力が失われれば、将来的な成長機会を逃す結果にもつながりかねないのです。

法的責任と行政処分というリスク

パワハラ防止法に違反した企業には、厚生労働大臣による助言や指導、勧告を受けることがあります。勧告に従わない場合は企業名が公表されることもあり、社会的信用の失墜は避けられません。直接的な罰則はないものの、企業イメージへの影響は計り知れないでしょう。

民事上の責任としては、ハラスメントの被害者から損害賠償請求を受ける可能性があります。加えて、企業には従業員の安全を守る「安全配慮義務」があり、これを怠ったと認定されれば、企業が損害賠償責任を負うことになりかねません。

さらに、刑事上の責任が問われるケースもあります。たとえば、暴行や脅迫、名誉毀損などの行為があれば、加害者個人だけでなく、企業の管理責任が問われる場合も。労働安全衛生法に違反したとされた場合、経営者自身が刑事処分を受けるリスクも否定できません。

経営者が今すぐ取り組むべきハラスメント対策

ハラスメント防止は法的義務であり、同時に企業の持続的成長に欠かせない投資です。問題が表面化する前に体制を整えることで、信頼性の高い職場づくりが可能になるでしょう。

相談窓口の設置と適切な運用体制の構築

すべての企業には、法律によりパワハラ防止措置の一環として、相談体制の整備が義務付けられています。社内では、人事担当者や信頼できる管理職を相談対応者として指定し、秘密保持と中立性を徹底する必要があります。また、対面だけでなく、メールや電話など複数の手段で相談できる仕組みも整えておきましょう。

さらに、外部の弁護士や社労士などとの連携により、相談者が安心して利用できる中立的かつ専門的な体制を構築することも効果的です。相談があった際には、最後まで話を聞き、事実関係を正確に記録したうえで、冷静に対応することが求められます。

従業員への周知徹底と研修の実施

就業規則にはハラスメントの禁止条項を明記し、違反した場合の懲戒処分について明確に定めることが必要です。新入社員研修や管理職研修において、ハラスメントの定義や具体例、相談窓口の存在について定期的に周知しましょう。

また、社内報や朝礼などを活用して経営者自身がハラスメント防止に対するメッセージを発信することも効果的です。職場にポスターを掲示するなど、日常的に意識づけを図る工夫を心がけると良いでしょう。

再発防止の体制づくりのポイント

ハラスメントが発生した際は、事実確認と対応だけでなく、再発を防ぐ体制づくりも不可欠です。たとえば、管理職への再教育や就業規則の見直し、外部相談窓口の導入などが考えられますが、これらには一定のコストがかかります。中小企業にとって急な出費は負担になりがちですが、そうしたときには「ファクタリング」の活用が有効です。

ファクタリングは、売掛金を現金化する資金調達方法で、借入とは異なり返済義務がありません。急な対策費用にも柔軟に対応でき、体制づくりを後回しにせずに済みます。

いざというときに備え、ファクタリングを活用できる準備をしておくことも、リスク管理のひとつといえるでしょう。

【今回のまとめ】
ハラスメント対策で安心できる職場環境づくりを目指そう!
ハラスメント防止は法的な義務であると同時に、企業の信頼や人材の定着に直結する重要な経営課題です。正しい知識をもとに相談体制を整え、社内の意識改革を進めることで、従業員が安心して働ける職場をつくりあげましょう。

とはいえ、体制整備には一定のコストが伴うため、資金面の不安を感じる経営者の方もいらっしゃるかもしれません。資金繰りに困った際は、売掛金を資金化できるファクタリングが有効です。急な支出に対応しやすくなり、必要な対策をためらわず進められるでしょう。

当社では、職場環境の改善に取り組む経営者様からのファクタリングに関するご相談を随時承っております。資金繰りを見直すことは、健全な職場づくりの第一歩です。まずはお気軽にご相談ください。
弊社は事業者様と共に
ファクタリングサービスを通じて
社会へ繋がっていきます。