事務所家賃が払えないとどうなる?流れ&最悪の状況を避ける方法を解説します

事務所家賃が払えないとどうなる?流れ&最悪の状況を避ける方法を解説します

【記事更新 】

2025/10/28

会社の事務所の家賃が、払えない。経営の根幹を揺るがす非常事態です。

売上の急減、予期せぬ出費…理由は様々でしょう。しかし、手をこまねいていれば、事態は刻一刻と悪化し、やがて「強制退去」という最悪の結末を迎えます。

この記事では、最悪の状況を回避するために経営者が今すぐ取るべき具体的な行動を、時間軸に沿って解説します。

家賃滞納から強制退去までのタイムライン

家賃滞納から強制退去までは、一定の猶予期間があります。

しかし、その時間は決して長くありません。

滞納期間 主な出来事 経営者が取るべき行動
~1ヶ月 管理会社・大家からの連絡、督促 誠実な対話。正直に事情を説明し、具体的な支払日を約束する。
2~3ヶ月 保証会社の介入、内容証明郵便の送付 交渉と資金調達を急ぐ。保証会社は手強い相手。法的措置への移行が現実味を帯びる。
3ヶ月以降 賃貸借契約の解除、明け渡し請求訴訟 弁護士への相談が必須。個人での対応は困難。強制退去が目前に迫る。

ステップ1(滞納~1ヶ月) 交渉の余地が残されている期間

滞納から1ヶ月目までは、まだ貸主との信頼関係が完全に壊れてはいない可能性も十分に残されている時期と考えられます。

管理会社やテナント大家さんに正直に事情を説明し、いつまでに支払えるかを明確に伝えれば、分割払いや翌月一括払いなどで乗り切れるケースがほとんどです。

この段階で最もやってはいけないのが「連絡の無視」です。逃げずに、誠実な対話の姿勢を見せることが、傷を浅く済ませる唯一の方法です。

ステップ2(滞納2~3ヶ月) 保証会社の介入と法的措置の開始

滞納が2ヶ月を超えると、多くの場合で保証会社が介入してきます。

保証会社は、家賃保証サービスの提供会社であり、滞納が発生した際にはオーナーに家賃を立て替え払いし、その分の債権を借主から回収します。

債権回収のプロであり、厳しい態度で返済を迫ります。

大家さんからの「退去も含めて考えてほしい」というプレッシャーも強まり、交渉のハードルは一気に上がります。

ステップ3(滞納3ヶ月~) 強制退去へのカウントダウン

滞納が3ヶ月にも達する頃には一般に貸主と借主の信頼関係は破綻したと見なされ、法的に契約を強制解除され、「建物明渡請求訴訟」へと移行します。

訴訟で貸主の主張が認められれば、裁判所から退去を命じる判決が下されます。それでも退去しない場合、最終的には「強制執行」により、裁判所の執行官が来て、事務所内の備品はすべて運び出され、文字通り「叩き出される」ことになります。

事業の根幹が揺らぐだけでなく、会社の信用も完全に失墜します。この段階に至る前に、必ず手を打たねばなりません。

強制退去を回避するための具体的な資金調達方法

交渉と並行して、滞納家賃を支払うための資金調達に全力で取り組む必要があります。

銀行融資が難しい状況でも、諦めるのはまだ早いのです。

方法1 親族・役員からの緊急融資

まず相談すべきは、経営者や役員の親族です。事情を正直に話し、一時的な立て替えや融資をお願いできないか交渉してみましょう。

もちろん経営者ご自身のご家族の資産によって賄えれば一番良いわけですが、なかなか事情が許してくれないというケースも往々にしてあります。

例えば過去にも同様の事例があり、経営者、つまり社長のご親族から借り入れがある場合には、物理的に緊急融資や立て替えが難しいというケースもあるでしょう。

こうした場合は経営者の家族から親族に交渉先が変わり、同時に並行して役員の親族や役員の個人資産からの借り入れ、立て替えという部分も検討していくことになります。

金融機関やビジネス上の取引関係のない、いわゆるプライベートな関係からの支援は、最も迅速に資金を確保できる可能性があります。プライドを捨てて、頭を下げてください。

方法2 公的融資・補助金の活用

日本政策金融公庫のセーフティネット貸付など、経営難に陥った事業者向けの公的融資制度も選択肢です。

審査に時間はかかりますが、低金利で資金を調達できる可能性があります。こちらは例えば24時間以内に状況が改善するといった速攻性はありませんが、その分安定性が確保できる可能性もありますので、やはり先ほどの方法と並行して進めるべきでしょう。こうした状況においてもやることはたくさんあります。心が折れないように、しっかりとタスクリストに落とし込んで行動する必要があると言えるでしょう。

また、経済産業省が管轄する「事業再構築補助金」や、各自治体が独自に設けている助成金など、返済不要の資金が活用できないかも、併せて確認すべきです。

方法3 売掛債権を現金化するファクタリング

すでに入金待ちの請求書(売掛債権)があれば、ファクタリングが極めて有効な手段です。売掛金を即座に現金化できるため、緊急性の高い家賃の支払いに充当することができます。

ただし、ファクタリングに関して昨今「発行済みの請求書さえあれば絶対に審査に通過できるから、すぐに利用しよう」とする悪質な広告が出回っているなど、ファクタリングという仕組みそのものを過度に期待するような風潮があります。

残念ながらファクタリングは売掛債権の安定性や売掛先企業との関係性などを基に評価を行いますので、100%審査に通過できるといったものではありません。そのため、あくまでも当記事では方法論の一つとしてご紹介するにとどめている次第です。

とはいえ融資ではないため審査がスピーディーで、会社の信用情報に影響を与えません。まさに、このような緊急事態を乗り切るための資金調達法です。

方法4 リースバックの検討

もし会社が不動産や高価な機械設備を所有している場合、「リースバック」も選択肢となり得ます。

これは、所有資産を専門の会社に一旦売却し、売却代金を受け取った後、同じ資産をリース契約して使い続ける方法です。対応できる業者には限りがあり、地域によっては対応してくれるリースバック業者が存在しないケースもありますので、事前リサーチが必要とはなりますが、一つの選択肢として検討してみる方法もあります。

大切なのは、こうした事務所家賃が払えないといったときに、様々な方法を考え、そのすべてを可能な限り実践に移していくということではないでしょうか。

所有権は失いますが、事業に必要な資産を使い続けながら、まとまった資金を調達できるというメリットがあります。

【今回のまとめ】
事務所の灯りを、決して落とさないことを目標に
事務所の家賃滞納は、単なる支払い遅延ではなく、事業継続の危機に直結する問題です。滞納後のタイムラインを理解し、事態が悪化する前に手を打つことが何よりも重要です。

連絡を絶やさず誠実に交渉を続けると共に、ファクタリングなどの迅速な資金調達方法を駆使して、事業の基盤である事務所を失うという最悪の事態は絶対に避けなければなりません。事務所の灯りを守り抜く。それが経営者であるあなたの、最大の責務です。

資金調達やファクタリングに関するご相談は、ぜひワイズコーポレーションまでお気軽にお問い合わせください。
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