売掛債権を放置すると黒字倒産の可能性も?債権回収の方法をわかりやすく解説

売掛債権を放置すると黒字倒産の可能性も?債権回収の方法をわかりやすく解説

【記事更新 】

2023/04/25

取引先からの売掛債権が回収不能になることは、多くの企業にとって悩みの種です。売掛金が未回収となると貸し倒れとなり、黒字倒産の可能性も出てきます。

そこで今回は、売掛金の回収について基本的な知識から回収方法、そして回収できない場合の対処法まで解説します。

【基本情報】売掛債権とは?

商取引において売掛は便利な商習慣でよく利用されています。

売掛(売掛債権)とは、販売者が商品やサービスを提供した際に発生する代金を利用者や購入者が後日支払う仕組みです。

つまり、先に商品やサービスを提供した企業が、取引先から後日代金を受け取るべき債権のことです。代金は末締め翌月末など、いつ支払われるか双方で決めます。

また、この売掛が支払われるまでの期間を支払いサイクルともいいます。建設業などでは支払いサイクルが長い傾向にあります。

そして、売掛債権を適切に管理するためには、与信・請求・回収といった管理業務が必要となります。

売掛債権の回収が遅れる原因

売掛は、取引先を信用して行う行為でもあります。しかし、この売掛が何らかの原因で支払われないことがあります。

売掛債権の回収が遅れる原因はいくつかありますので、主な原因を解説します。原因に合わせた解決策を講じましょう。

取引先が支払いを忘れている

取引先が悪意なく支払いを忘れているケースがあります。このような場合、関係性を壊さないよう、丁寧なリマインドを行い債権を回収する方法があります。

自社による事務的ミス

請求書に不備があったり、社内の事務的なミスが原因で、売掛金の回収に遅れが生じることがあります。

組織内でコミュニケーション不足が起きていないか、請求業務は適切に仕組み化されているか見直す必要があります。

取引に不備があった

自社が提供するサービスや商品に何らかの不備がある場合も売掛金の回収が遅れる原因となりえます。不備の度合いによっては、取引先が支払いを拒否することもあります。

取引内容を見直し、双方が納得できるように再度取引を行うなど、コミュニケーションを取りましょう。

取引先の財務状況が悪化した

取引先の財務状況が悪化することも、売掛金の回収が遅れる原因となります。場合によっては、回収不能となる可能性もあります。

取引先の経営状態を把握し、早期に回収策を検討するなど対策が必要です。

詐欺被害にあっていた

売掛先が詐欺を行っており、売掛金が支払われないケースもあります。つまり、取引先が売掛という仕組みを悪用し、商品などを詐取することがあるのです。

これは犯罪ですので、弁護士や警察に相談しましょう。

取引先に逮捕者が出た

取引先の経理担当者や経営陣に逮捕者が出ると、売掛債権の回収が遅れるか不能になる可能性があります。

送検や勾留等により物理的に支払いができなかったり、逮捕の事実が広まることで取引先の財務状況が悪化するためです。

取引先が倒産した

取引先が倒産した場合にも、回収が困難になることがあります。黒字倒産であれば、いくらか回収できる見込みもあります。しかし赤字倒産であれば回収不能となる可能性があります。

取引先が倒産するリスクに備え、事前に信用調査や取引先分散化などの対策を講じることが重要です。

売掛債権を回収できない:どんな影響が出る?

売掛金の回収が遅れたり、回収不能となるとどのような影響が出るか具体的に解説します。

資金繰りに影響が出る

売掛の期日をもとに会社の資金繰りを計算している場合、売掛を回収できないと会社の資金繰りに問題が生じます。場合によっては会社経営にまで影響が出ます。

資金繰りに影響が出る場合は融資やファクタリングなどの利用を検討し、会社の運転資金の確保をおすすめします。

利益の減少

売掛は、代金を支払ってもらう権利ですが、取引先が支払うまでお金を手にできません。また、売掛は将来的に収益を得られる権利でもありますが、回収できなければその収益が発生しません。

また、弁護士等に回収を依頼する場合、着手金や成功報酬、諸費用の負担などで本来の債権額より手元に入ってくる金額が減ります。

なお、回収できない債権は原則、貸倒損失として計上します。

取引先との関係性の悪化

期日までに取引先から支払いがない場合、取引先に事情を伺ったり、督促を行うでしょう。しかし、自社のミスや管理不足が原因で売掛の支払いが遅れている場合は、取引先との関係が悪化する可能性ががあります。

また、取引先との取引を停止せざるを得ない場合も関係性が悪化するでしょう。

時効を迎えてしまう

売掛金といった債権には時効があります。この時効を迎えてしまうと、債権が消滅し、債権を回収できる見込みが低下します。

債権が消滅するということは、取引先が債権がないことを理由に支払いを拒否できるということです。

また、2020年の民法改正により時効が完成する期間が変更になっていますし、旧民法では短期間で時効が消滅するものもあります。弁護士や認定司法書士に売掛金の時効はよくご相談ください。

売掛債権を回収できないと黒字倒産の可能性は?

売掛債権を回収できない場合、資金繰りや経営に支障をきたし、倒産する可能性があります。

特に売掛債権が大きい場合、キャッシュフローが悪化し、自社の支払い能力に問題が生じる可能性があります。このような状況が続くと、会社は売掛債権があるにも関わらず債務不履行に陥り、黒字倒産の危機に直面します。

黒字倒産を防ぐには資金繰り表などを活用し、キャッシュフローを意識した経営で資金ショートを防ぐなど経営手腕が必要となります。

売掛債権を回収する方法

支払期限が過ぎた売掛債権を回収する主な方法をご紹介します。売掛金の回収遅れはキャッシュフローに影響を及ぼしかねないため、早急な対処が求められます。

取引先に対して催促する

売掛金の未入金がある場合は、取引先に対して催促を行います。電話やメール、FAXなどで督促・催告します。

催告は自社で行うことも出来ますし、弁護士に依頼して催告してもらう方法もあります。

なお、取引先との間に買掛金などがある場合は、売掛債権と相殺できるケースもあります。

債権回収を依頼する

売掛金の回収を自社で行うのではなく、弁護士に債権の回収を依頼する方法もあります。

弁護士に依頼すると、20万円前後の着手金や10%~20%前後の成功報酬がかかるのが一般的です。

なお、諸条件を満たせば債権回収会社(サービサー)に依頼も可能です。

裁判等で訴える

差押は強制的に債権を回収する協力な手段です。差押を念頭に裁判所等で訴える方法も有効です。

また、差押を行うにはまず債務名義が必要ですので、確定判決や支払督促、執行受諾文言が入った公正証書、調停調書などを取得できるように動きます。

債務名義があっても支払われない場合は、差押の実行を検討しましょう。ただし、取引先が経営不振等の場合は財産がないことから、差押できる財産がないか、実行しても一部しか回収できないケースも念頭に動きましょう。

【今回のまとめ】
債権回収は早急に行い資金ショートを防ごう
売掛金の放置は資金ショートや黒字倒産を招く可能性がありますので、債権回収は早急に行うことが求められます。売掛金を回収しつつ、通常の業務も行うことが大変という場合は、債権回収を弁護士に依頼するのも一つの方法です。

また、売掛金の回収遅れにより資金繰りが悪化した場合は、期限到来前の売掛債権をファクタリングにかけて運転資金を確保することもおすすめです。

運転資金の確保(資金調達)は融資等でも可能ですが、銀行融資は審査から振込実行まで時間がかかりやすく、利息や毎月の返済の手間が発生し、負債にもなります。

しかしファクタリングは融資ではありませんので、負債を増やさずに運転資金の確保が可能です。

当社では最短即日でのファクタリングも可能です。ファクタリングをご検討の際は、ぜひお問い合わせください。
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