売掛先の信用調査はどうやって行う?経営者が自ら実践できる調査方法を解説

売掛先の信用調査はどうやって行う?経営者が自ら実践できる調査方法を解説

【記事更新 】

2026/02/03

売掛先の信用調査を行うと、取引先の倒産や支払い遅延による資金繰りの悪化を未然に防げます。

信用調査と聞くと専門機関に依頼するイメージがありますが、経営者が自ら実践できる方法もあります。

社内の記録を確認する内部調査や、取引先を訪問する直接調査、公開情報を活用する外部調査など、状況に応じて使い分けることが重要です。

本記事では、信用調査のメリットから具体的な調査方法、経営状況の見極め方、安全な取引を続けるポイントまで詳しく解説します。

売掛先の信用調査を行うメリット

売掛先の信用調査を行うと、代金の未回収を防げるだけでなく、資金繰りの安定や取引先との信頼関係構築にもつながります。

主なメリットを確認していきましょう。

代金の未回収を未然に防げる

売掛先の信用調査を行う最大のメリットは、取引先が倒産したり支払い能力を失う前に危険な兆候を掴めることです。

取引開始前に相手企業の財務状況や支払い実績を確認しておけば、代金を回収できないリスクを軽減できます。

経営が不安定な企業や、支払い遅延を繰り返している企業を把握できるため、取引条件を慎重に設定したり、取引自体を見送る決断も下せます。

売掛金が回収できなくなると、自社の資金繰りに深刻な影響を与えるだけでなく、従業員の給料や仕入れ代金の支払いにも支障が出てしまいます。

手間はかかりますが、中長期的な損失を防ぐためにも、信用調査は欠かせません。

安定した資金繰りを保てる

売掛先の信用状態を把握しておくと、入金予定を正確に見通せるようになり、資金計画が立てやすくなります。

取引先の支払い能力を事前に調査すれば、入金額や入金予定を予測できるため、仕入れ資金や人件費のスケジュールを無理なく組み立てられます。

信用調査を怠ってしまうと、入金が安定しない企業と取引を結んでしまい、急に資金不足に陥る可能性も否めません。

日頃から取引先の信用状態を確認しておけば、安定した資金の流れを維持できます。

取引先との信頼関係が深まる

信用調査を通じて、取引先の事業内容や経営方針を深く理解すると、相手企業のニーズや課題を把握しやすくなり、より良い提案ができるようになります。

取引先の業界動向や財務状況を知っておけば、相手が資金繰りに困っている時期を察知して、支払いサイトの調整を提案したり、業績好調な時期に新商品を提案するタイミングを見極められます。

信用調査で得た情報をもとに適切な与信枠を設定すれば、過度に警戒して取引を制限することもなく、取引先の成長を支援しながら自社のビジネスも拡大できるでしょう。

経営者が自分でも取り組める調査方法とは

売掛先の信用調査と聞くと専門的で難しく感じるかもしれませんが、経営者自身でも実践できる方法がいくつかあります。

主な調査方法を確認していきましょう。

社内の履歴を洗う「内部調査」

内部調査は、自社が過去に取引先とやり取りした記録を確認する方法です。

請求書の発行履歴や入金記録、支払い遅延の有無、過去のクレームや問い合わせ内容などを洗い出します。

既に取引がある企業なら、営業担当者や経理担当者が持っている情報を集めるだけで、相手企業の支払い姿勢や経営の安定性を把握できます。

支払いが常に期日通りか、遅延が起きた際にどう対応したか、取引金額が増えているか減っているかといった変化も重要な判断材料になるでしょう。

外部に費用を支払う必要がなく、社内の資料を整理するだけで実施できるため、まず初めに取り組むべき調査方法です。

現場を訪ねる「直接調査」

直接調査は、取引先の事務所や工場、店舗などを実際に訪問して、経営状況や業務の様子を自分の目で確かめる方法です。

オフィスの清掃状態や設備の管理状況、従業員の働きぶりや表情を見ると、会社の雰囲気や経営者の姿勢が見えてきます。

経営者や担当者と直接会話をすれば、事業への熱意や将来のビジョン、資金繰りの状況なども確認できます。

時間と手間はかかりますが、書類やデータだけでは分からない生の情報を得られるため、大口の取引を始める前や継続的な取引の見直しを行うときに検討しましょう。

公開データを読み解く「外部調査」

外部調査は、誰でもアクセスできる公開情報を活用して取引先の経営状況を調べる方法です。

法人の登記情報は法務局で取得できるため、会社の設立年月日や資本金、役員構成、本店所在地などの基本情報を確認できます。

官報を調べれば、過去に倒産や民事再生の手続きを行った企業の情報も分かるでしょう。

取引先の企業ホームページやプレスリリース、業界紙、新聞記事なども有力な情報源になります。

上場企業なら決算短信や有価証券報告書が公開されているため、売上高や利益、負債の状況などを詳しく把握できます。

インターネット上の口コミサイトやSNSでも企業の評判を調べられますが、匿名の情報は信憑性が低い場合もあるため、総合的に判断する必要があります。

プロの知見を借りる「依頼調査」

依頼調査は、信用調査会社や興信所などの専門機関に費用を支払って、取引先の詳しい調査を依頼する方法です。

調査会社は独自のネットワークや調査ノウハウを持っているため、自社では入手できない情報や、多角的な視点での分析結果を得られます。

財務状況や経営者の評判、取引先の数や取引規模、業界内での立ち位置、過去のトラブル履歴など、幅広い項目を調査してもらえます

大きな金額の取引を始める際や、信用に不安がある企業と取引する際に、依頼調査は役立つでしょう。

調査費用は数万円から数十万円程度かかりますが、適切な与信枠を設定したり、取引条件を見直したりすれば、代金未回収のリスクを軽減できます。

売掛先の経営状況を見極める方法

信用調査で得た情報をもとに、取引先の経営状況を正確に見極めることが重要です。

具体的なチェックポイントを確認していきましょう。

訪問時に在庫や設備の状態を確かめる

取引先を訪問した際には、在庫や設備の状態を注意深く観察すると経営状況が見えてきます。

在庫が倉庫や事務所に溢れているなら、売上が落ちて商品が売れ残っている可能性があります。

逆に在庫が極端に少なければ、仕入れ資金が不足しており、十分な在庫を持てない状況かもしれません。

製造業なら、工場の機械や設備が古くなりすぎていないか、適切にメンテナンスされているかも確認しましょう。

従業員の人数や働きぶりも確認するべきポイントです。

必要な人員が揃っているか、従業員が活気を持って働いているかを見れば、経営者の人材育成に対する方針が伺えるでしょう。

現場の様子は数字だけでは見えない部分を教えてくれるため、訪問の機会があれば積極的に観察したいところです。

経営者のビジョンと実績を照らす

取引先の経営者が語るビジョンや事業計画と、実際の業績や実績を照らし合わせると、経営の健全性が見えてきます。

経営者とやり取りするときには、具体的な数字や取り組み内容を聞き出すことが大切です。

「売上を伸ばしたい」といった抽象的な話ではなく、「今年度中に新規顧客を20社開拓する」「来月から新商品を3つ投入する」といった具体的な計画があるかで、経営者の本気度が分かります。

過去の実績と将来の計画を冷静に比較して、現実的で達成可能なビジョンを持っている経営者かどうかを見極めましょう。

外部の調査報告を冷静に分析する

信用調査会社から提供される調査報告書は、取引先の経営状況を把握する重要な資料ですが、内容を鵜呑みにせず冷静に分析する姿勢が必要です。

調査報告書には財務データや取引実績、経営者の評判などが記載されていますが、調査時点の情報であり、最新の状況とは異なる場合があります。

特に業績が急速に悪化している企業の場合、数ヶ月前の調査報告では現状を反映できていない可能性があるため、報告書の作成日を必ず確認しましょう。

また、調査会社によって評価基準や調査の精度が異なることがあります。

複数の調査会社の報告を比較したり、自社で行った内部調査や直接調査の結果と照らし合わせると、より正確な判断ができます。

売掛先と安全に取引するためのポイント

信用調査だけでなく、継続的なリスク管理を行うことで安全な取引を維持できます。

実践すべきポイントを見ていきましょう。

与信枠を定期的に見直す

与信枠は、一度決めたら終わりではなく、定期的に見直すことが重要です。

取引先の業績が悪化したり支払い遅延が発生したりした場合は、与信枠を引き下げて取引金額を減らす必要があります。

逆に取引先の業績が好調で支払いも安定しているなら、与信枠を引き上げて取引を拡大する機会になるでしょう。

見直しのタイミングは、半年に一度や一年に一度といった定期的な時期に加えて、取引先の決算期や大きな事業変化があった時にも行うと効果的です。

支払いサイトの短縮を打診する

取引先との関係が良好で、相手企業の資金繰りにも余裕がありそうなら、支払いサイトの短縮を打診する価値があるでしょう。

例えば、現在60日サイトの取引を45日や30日に短縮できれば、売掛金の早期回収が実現して自社の資金繰りが改善します。

支払いサイトの短縮を交渉する際には、早期支払いに応じてもらう代わりに取引条件を優遇したり、商品代金を割引することも有効です。

ただし、取引先の資金繰りを圧迫するような無理な要求は関係悪化につながるため、相手の状況を考慮しながら慎重に交渉しましょう。

ファクタリングの利用を検討する

ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に売却して、支払期日前に現金化できるサービスです。

入金までの日数がある売掛金を、最短即日で資金化できるため、急な資金需要や資金繰りの改善に役立ちます。

取引先の信用に不安がある場合でも、ファクタリングを利用すれば売掛金の未回収リスクを軽減できるでしょう。

ファクタリングには、取引先に知られずに利用できる2社間ファクタリングと、取引先の承諾を得て利用する3社間ファクタリングの2種類があります。

2社間ファクタリングは手数料がやや高めですが、取引先との関係に影響しにくく、3社間ファクタリングは手数料が安い代わりに取引先への通知が必要です。

ファクタリングは銀行融資と違って借入金にならないため、財務状況を悪化させずに資金調達できる点もメリットです。

【今回のまとめ】
まとめ
売掛先の信用調査を行うと、取引先の倒産や支払い遅延による資金繰りの悪化を未然に防げます。

内部調査や直接調査、外部調査、依頼調査など、状況に応じて使い分けましょう。

資金繰りに不安がある場合や、急な資金需要が発生した際には、ファクタリングの活用も検討してください。

信用調査を日常的に行い、健全な取引関係を築いていきましょう。
弊社は事業者様と共に
ファクタリングサービスを通じて
社会へ繋がっていきます。