法人口座の売却は違法!口座を売る前にできる資金繰り策もご紹介

法人口座の売却は違法!口座を売る前にできる資金繰り策もご紹介

【記事更新 】

2025/10/14

「法人口座を数万円で買い取ります」という話が来たら、それは犯罪への誘いです。資金繰りに窮している経営者の弱みにつけ込む、悪質な手口に他なりません。

目先の現金と引き換えに科されるのは、「1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金」といった刑事罰です。会社の未来、そしてご自身の人生を棒に振る選択だけは、決してしてはなりません。

この記事では、口座売却が招く具体的な法的リスクと、その選択をする前に試すべき正規の資金繰り改善策を解説します。

法人口座の売却が「犯罪」になる法的根拠

口座の譲渡は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」で明確に禁止されています。

軽い気持ちで応じれば、ご自身は犯罪組織のインフラ提供に加担したと見なされます。

根拠1 「犯罪収益移転防止法」違反による刑事罰

他人への口座譲渡が発覚した場合、「1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金」が科される可能性があります。

口座売買においてまず問われる可能性が高いのが、犯罪収益移転防止法違反です。「犯罪による収益の移転防止に関する法律」が正式名称で、主にマネー・ローンダリングや振り込め詐欺などの犯罪を防止するための法律です。

具体的には、自分名義や他人名義の通帳、キャッシュカード、インターネットバンキングのログインID・パスワードなどを第三者に譲り渡す行為や、反対に譲り受ける行為がこの法律に抵触します。違反した場合、1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科せられる可能性があります。

この法律は、マネーロンダリングやテロ資金供与を防ぐことを目的としており、口座の「譲り渡し、譲り受け、又はその要求」のすべてが罰則の対象です。

知人から頼まれて身分証を貸し、口座開設に協力したといったケースでも逮捕に至る事例は後を絶ちません。これにより、ご自身の経歴には「前科」という事実が刻まれます。今後の融資やビジネスに、どれほどの悪影響が出るかは計り知れません。

根拠2 詐欺罪・マネーロンダリングへの加担

売却された口座は、特殊詐欺(振り込め詐欺、還付金詐欺)、闇バイトの報酬振込、違法なオンラインカジノの入出金など、様々な犯罪の温床となります。

犯罪組織は、捜査の手から逃れるために、他人名義の口座を常に欲しています。ご自身の会社名義の口座が、新たな被害者を生むための「凶器」として悪用されるのです。

警察の捜査が入れば、口座名義人であるご自身も当然、重要参考人あるいは共犯者として捜査対象となります。

根拠3 反社会的勢力との接点

口座売却を持ちかけるのは、その多くが闇金業者や素性の知れない違法業者です。

一度でも取引に応じれば、ご自身の会社情報や個人情報は反社会的勢力にわたり、さらなる犯罪のターゲットにされる危険があります。

個人間の金銭トラブルから「口座を売ってでも返せ」と要求されるケースも同様です。その要求は、すでに正常な取引関係から逸脱しています。その一線を超えれば、二度と元の世界には戻れません。

根拠4 銀行との契約違反と口座凍結

すべての銀行は、普通預金規定などで口座の譲渡を固く禁じています。

不正利用が疑われると、銀行は即座にその口座を凍結します。一度凍結されると、入出金は一切できなくなり、事業の決済に致命的な影響が出ます。

さらに、一つの銀行で問題を起こすと、その情報は銀行間で共有される可能性があります。結果として、他の銀行で開設している口座まで凍結されるリスクもゼロではありません。

口座売却の前に試すべき4つの資金繰り改善策

違法な手段に手を染める前に、まだやれることがあります。

社長としてのプライドが邪魔をするかもしれませんが、会社を存続させるためには、なりふり構わぬ行動が必要です。

資金繰り改善策 メリット デメリット・注意点
取引先との直接交渉 コストがかからない、即時性がある 成功するとは限らない、信頼関係が前提
公的融資制度 金利が低い、返済期間が長い 審査に時間がかかる、書類準備が煩雑
ノンバンクローン 審査が速い、柔軟な対応が期待できる 金利が高い、返済計画が必須
ファクタリング 審査が柔軟、信用情報に影響しない 手数料がかかる、売掛債権が必要

改善策1 取引先への直接交渉

請求書と領収書を準備し、決済権を持つ相手に直接「今回に限り、現金でお願いできないでしょうか」と交渉してください。

社長自らが頭を下げることでやはり「コトの深刻さ」が伝わり、これまでの信頼関係から特例として応じてもらえる可能性があります。経理担当者を通すのではなく、直接トップと話すのが成功の鍵です。

改善策2 公的融資制度の活用

日本政策金融公庫の「セーフティネット貸付」や、各自治体が設けている制度融資は、経営難に陥った事業者のための最後の砦です。無担保・無保証人で利用できる制度も少なくありません。

商工会議所や、自治体の産業振興課などが相談窓口になっています。審査には時間がかかりますが、低金利での借入が可能なため、まずは相談してみる価値は十分にあります。

改善策3 ノンバンクからの資金調達

銀行融資が絶たれても、道はあります。金利は銀行より高くなる傾向にありますが、審査がスピーディーで、事業の将来性を評価してくれるノンバンクは存在します。

複数の業者を比較し、返済計画を綿密に立てることが利用の絶対条件です。特に、事業計画や返済計画を具体的に提示できれば、審査を有利に進められる可能性があります。

改善策4 ファクタリングの活用

これは融資ではなく、会社が持つ「売掛債権(請求書)」の売却です。審査の主軸は売掛先の信用力のため、自社の決算状況や納税状況、代表者の信用情報が問われません。

銀行やノンバンクに断られ続けた経営者でも、資金調達に成功するケースが数多くあります。申し込みから最短即日で現金化できる業者もあり、緊急時に検討すべき選択肢の一つです。

【今回のまとめ】
正規の手段で、会社の価値を守り抜く
法人口座の売却で手にする数万円は、あまりにも代償の大きいものです。その金で一時しのぎをしても、後には刑事罰と失われた信用しか残りません。

資金繰りに窮した今こそ、経営手腕が問われています。

ご自身の会社には、これまで築き上げてきた取引先との信頼や、売掛債権という資産がまだ残されています。

こうした資産を活用できるファクタリングという方法による資金調達も用意されていますので、決して諦めず、また違法な手段に頼らず、正規のルートで最後まで戦い抜いてこそ、とお考えいただくのが宜しいでしょう。

資金調達やファクタリングに関するご相談は、ぜひワイズコーポレーションまでお気軽にお問い合わせください。
弊社は事業者様と共に
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社会へ繋がっていきます。