経営者が知っておくべき「債権譲渡通知」の仕組みと取引先への影響

経営者が知っておくべき「債権譲渡通知」の仕組みと取引先への影響

【記事更新 】

2026/03/24

売掛債権を始めとする債権に関しては、原則として第三者に譲渡することができます。しかし譲渡を行う際には、後のトラブルを防ぐためにも、債権譲渡通知が必要になるケースが少なくありません。

では債権譲渡通知はどのようなものなのか、その仕組みや譲渡通知を行った場合が取引先に与える影響などについて解説していきます。

債権譲渡通知とは?

債権譲渡通知とは、読んで字のごとく債権が第三者に譲渡されたこと、もしくはされることを債務者に通知することです。商取引で発生する売掛債権などの債権は、原則として第三者に譲渡することができます。譲渡自体は債権者の意思で決定できますが、後のトラブルを避けるためには、債務者に対し債権譲渡通知を行い、譲渡の事実を周知しておく必要があります。

一般的な債権譲渡通知の方法

一般的に債権譲渡通知は郵便を持って行います。口頭や電子メールなどではなく郵便を利用するのは、債権譲渡通知がなされた事実を法的に証明するためです。

通知を行うのは元の債権者です。元の債権者は債権を譲渡する旨を記した書面を、内容証明郵便で送付します。内容証明郵便は配達証明が可能であり、その配達証明に記された日付がいわゆる確定日付となります。

債権譲渡通知が必要な場面

債権譲渡通知が必要な場面は、当然ですが債権の譲渡が行われた場合です。特に債務弁済を目的とした債権譲渡の場合は、必ず債権譲渡通知が必要になります。

一方で、債権の譲渡が行われても、債権譲渡通知が不要なケースも存在します。債権譲渡通知を行う主な理由は、譲渡人(元の債権者)が第三者に対して対抗要件を持つためです。

債権譲渡の対抗要件とは、譲渡人と譲受人の間で債権譲渡が行われたことを主張し、譲受人が新たな債権者であることを法的に証明するための要件です。対抗要件は、確定日付のある通知または承諾、あるいは債権譲渡登記によって備えることができます。

債権譲渡通知を行い、対抗要件を持つことで新たな債権者である譲受人は、債務者に対し正式に債務の弁済を請求できますし、債務者はその請求を拒めなくなります。

ファクタリングを利用した場合は?

同じ債権を譲渡する場合でも、目的が債務弁済ではなく資金調達というケースがあります。いわゆるファクタリングという資金調達法です。ファクタリングは売掛債権をファクタリング会社に譲渡することで、売掛金を入金期日前に現金化するという資金調達法です。

ファクタリングを利用した場合債権譲渡通知が必要なのかどうかを、契約方式ごとに確認していきましょう。

2社間ファクタリングの場合原則通知不要

2社間ファクタリングとは、申し込み企業とファクタリング会社の2社で債権譲渡契約を結ぶ方法です。2社間ファクタリングの場合は、債権譲渡通知は原則不要です。

2社間ファクタリングでは、債権の種有権こそ譲渡されますが、売掛債権の契約内容に関しては一切変更されません。つまり、売掛金の入金先は、申し込み企業の口座のまま変わらないということです。契約内容が変わらないため、特に債権譲渡通知は必要ないということになります。

ただし、2社間ファクタリングでも債権譲渡通知が行われるケースがあります。1つはファクタリング会社が債権譲渡通知を必須としている場合、もうひとつは申し込み企業が売掛金の送金を行わなかった場合です。

そのため2社間ファクタリングを利用した場合、売掛先から売掛金が入金されたら、定められた期間内にファクタリング会社に売掛金を送金しなければいけません。この送金が遅れる、行われないという場合は、ファクタリング会社から売掛先企業に対し、債権が譲渡されている旨の通知が行われるケースがあります。

多くの場合はファクタリング契約の際の契約書に、どのようなケースで債権譲渡通知が行われるかが記載されていますので、しっかり内容を確認しておきましょう。

3社間ファクタリングは通知必須

3社間ファクタリングとは、申し込み企業、ファクタリング会社に加え、売掛先企業も参加する契約方法です。3社の同意のもとでファクタリング契約を結ぶため、当然ですが債権譲渡通知が必要となり、また売掛金の振込先口座もファクタリング会社の口座に変更されます。

債権譲渡通知書が取引先にもたらす影響

債権譲渡に伴い、債権譲渡通知を取引先に送った場合、どのような影響が出るのかを考えてみましょう。

売掛金の入金先が変更になる

多くの場合債権が譲渡されることで、売掛金の入金先は元の債権者から新たな債権者に変更されます。取引先企業としては、自社と直接的に関係する企業ではない企業の口座に振り込むことになり、経理的な処理に手間がかかる可能性があります。

また、取引先としては慎重に処理する必要も生じます。仮にこの通知が虚偽の通知であった場合、売掛金を新たに指定された口座に入金したのに、支払われていないというトラブルが起こりかねません。取引先としては、元の債権者に連絡を取り、債権譲渡が間違いないのか、振込先企業に問題はないのかなどを確認しなければいけません。

抗弁の切断が適用される

原則として、債務者は元の債権者に対して主張できた抗弁を、新たな債権者に対しても主張できます。

例えば、元の債権者との間で契約不履行があり、支払いができないという場合でも、新たな債権者の支払い請求を拒むことができないということになります。取引先企業にとってはある程度リスクがあるルールとも考えることができるでしょう。

債権者との取引が変化する可能性がある

債権者が債権を第三者に譲渡するということは、それだけ資金繰りが厳しい状況であるということが予測されます。どんな企業でも、経営状態が芳しくない企業との取引は継続したくないものです。

債権譲渡通知を行ったことで、後に取引先との取引が減少してしまう、もしくは無くなってしまう可能性があることは否定できません。

民法改正の影響

2020年4月には大きな民法改正がありました。その中には債権譲渡に関する法律の改正も含まれています。債権譲渡に直接的に関係するものとしては、債権譲渡禁止特約が付随されている債権でも、第三者への譲渡が認められるようになった点が挙げられます。

ただしどのような場合でも特約を無視できるというわけではありません。特約があっても債権譲渡が認められるのは、譲受人が善意かつ無過失であること、そして譲受人が特約の存在を知っていることが条件となります。

このような民法改正が行われた背景には、ファクタリングの利用拡大があります。多くの中小企業がもっとファクタリングという資金調達法を利用しやすい状況にするため、民法を改正し、善意かつ無過失であるファクタリング会社への譲渡は認めるという形になりました。

もちろん譲受人に悪意があると判断されれば債権譲渡は認められません。

ファクタリングで債権譲渡通知を行う際のポイント

ファクタリングを利用する場合でも、債権譲渡通知を行う必要があるケースはあります。では、こうしたケースにおいて、後にトラブルとならないためにはどのような対策が必要なのかを確認しておきましょう。

事前に事情を説明する

ファクタリングを利用する経営者として、何より重要になるのが事前の説明でしょう。ファクタリングを利用することはもちろん、なぜ利用するのか、どの程度の器官利用するのかなど、取引先に納得してもらえるように丁寧に説明しましょう。

また、同時にファクタリングは利用するものの、経営状態が悪化しているわけではないという点も伝えておくのがおすすめです。上記の通り、債権譲渡通知が不要である2社間ファクタリングの場合、取引先に利用を知られる可能性が極めて低いため、事前の説明も不要となります。

ただし、その分2社間ファクタリングは手数料相場が高いという問題があります。手数料相場でいえば、3社間ファクタリングの方がはるかに安くなるため、より有利な条件でファクタリングを活用したいのであれば、3社間ファクタリングがおすすめとなります。

事前に丁寧に説明することで、取引先から理解を得られるという感触がるのであれば3社間ファクタリングを、そうではない場合は2社間ファクタリングを利用するのが現実的でしょう。

通知書の内容に誤りがないかを確認する

債権譲渡通知は法的にも非常に重要な書面です。当然ですが記載事項に誤記がないようにするのが大きなポイントです。契約内容、支払期日、金額などは必ず何度か確認を行うようにしましょう。

また、債権譲渡通知には記載すべき情報がいくつかあります。自社での作成に自信がない場合は、専門家に依頼する、もしくは作成した書面を専門家に確認してもらうなどして、後のトラブル発生を避けるようにしてください。

債権譲渡通知が不要なのは2社間ファクタリング

債権譲渡通知は、債権の所有権が第三者に譲渡された事実を債務者に伝えるための書面です。基本的には書面を作成し、内容証明郵便で送付します。とはいえ、債権の譲渡が行われるすべてのケースで必要なものではありません。資金調達を目的とした2社間ファクタリングの場合、債権譲渡通知は必須ではありません。

債権譲渡通知が必要になる場合は、いきなり通知書を送付するのではなく、事前に取引先に事情を説明しておくといいでしょう。その時自社の経営状況に関しては問題がないこともきちんと伝えるのがおすすめです。

債権譲渡通知なしで債権を譲渡し資金を確保したいのであれば、2社間ファクタリングを上手に活用するのがいいでしょう。

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