解雇と退職勧奨の違いは?どこから強要になる?労基に叱られない人材整理術を解説

解雇と退職勧奨の違いは?どこから強要になる?労基に叱られない人材整理術を解説

【記事更新 】

2025/07/22

事業規模の調整や経営環境の変化に伴い、人材整理の検討を迫られる場面があります。人材整理には解雇と退職勧奨という2つの手法がありますが、法的なルールや手続きが大きく異なるため、正確に理解しなければなりません。

特に、退職勧奨はやり方を間違えると違法な退職強要とされ、労働基準監督署から指導を受けたり、損害賠償を請求されたりするリスクがあるのです。本記事では、解雇と退職勧奨の違いや、どこからが強要になってしまうのかについて詳しく解説します。

解雇と退職勧奨の違い

解雇と退職勧奨は、どちらも従業員との雇用関係を終了させる手続きですが、法的な性質が大きく異なります。まずは解雇と退職勧奨の具体的な違いについて見ていきましょう。

解雇は会社が一方的に労働契約を終了する手続き

解雇は会社が一方的に労働契約を終了させる手続きであり、従業員の同意は必要ありません。解雇には「普通解雇」「懲戒解雇」「整理解雇」などの種類があり、それぞれに法的な規制や手続きが定められています。

労働契約法第16条によると、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と規定されています。

退職勧奨は従業員に自主退職を促す働きかけ

退職勧奨は、会社が従業員に自主的な退職を促す働きかけであり、最終的な決定権は従業員にあります。退職勧奨に応じるかどうかは従業員の自由で、断ることも可能です。

退職勧奨に従業員が応じた場合、合意に基づく退職(合意退職)となり、解雇と異なり会社都合退職の扱いとなります。会社都合退職の場合、失業保険の給付制限期間が短縮されるなど、従業員にとって有利な条件となることが多く、退職勧奨が成功しやすい理由の一つです。

まずは退職勧奨を行い合意が得られない場合に解雇を検討

解雇は一方的な契約解除であるためトラブルリスクが高く、退職勧奨は円満な合意形成を目指す手段として位置づけられています。

退職勧奨は解雇に比べて法的規制が緩やかですが、やり方次第では違法となるため注意が必要です。経営上は、まず退職勧奨を検討し、合意が得られない場合にのみ解雇を選択するのが一般的な手順です。退職勧奨で合意が得られれば、解雇に伴う法的リスクを回避でき、会社の評判や労働環境への悪影響も最小限に抑えることができるでしょう。

退職勧奨が強要と判断されるケース

退職勧奨は従業員の自由意思を尊重することが大前提となりますが、やり方を間違えると違法な退職強要に該当する可能性があります。穏やかな説明や提案にとどまる場合は適法とされますが、執拗な面談や威圧的な言動は違法な退職強要に該当します。

穏やかな説明や提案にとどまれば適法

退職勧奨は従業員の自由な意思を尊重し、退職の選択肢を与えることが前提です。会社の経営状況や人員整理の必要性について穏やかに説明し、退職について検討してもらうよう提案する程度であれば適法とされます。

従業員に対して会社の現状を正直に伝え、退職金の優遇措置や再就職支援などの条件を提示して、退職を検討してもらうよう依頼することに問題はありません。従業員が退職を拒否できる余地があれば、退職勧奨の範囲内と判断されます。

面談では「検討していただけないでしょうか」「ご相談させていただきたいのですが」といった丁寧な表現を使い、従業員が断る選択肢があることを明確にすることが大切です。

執拗な面談や威圧的な言動は違法な退職強要に該当

執拗な面談の繰り返しや長時間の説得は、強要と判断される可能性が高くなります。威圧的・脅迫的な言動や人格否定、待遇の不利益変更をちらつかせる行為は違法に該当します。

また、「辞めなければ給料を下げる」「降格させる」といった脅迫的な発言や、「能力が足りない」などの従業員を否定するような発言は明確に違法行為です。

その他にも、同僚の前で退職を迫ったり、会社の業績悪化を個人の責任であるかのように責め立てたりする行為は、従業員の人格権を侵害する違法行為として損害賠償の対象となり得るため、注意しなければなりません。

強要と判断されると損害賠償や刑事責任のリスクあり

上述したような違法な退職強要は、損害賠償や慰謝料請求の対象となります。慰謝料としては、数十万円から数百万円の支払いを命じられることもあるでしょう。

また、違法な退職強要により提出された退職届は無効とされ、従業員が在職していることを前提とした賃金の支払いや労働条件の改善を求められる場合があります。強要が悪質な場合は、刑事責任(強要罪等)を問われる場合もあるため、発言には十分に気を配らなければなりません。

労働基準監督署に叱られない人材整理の進め方

人材整理を適法に進めるためには、段階的なアプローチと適切な手続きが重要です。希望退職から始まり、退職勧奨、整理解雇という順序で進めることで、法的リスクを最小限に抑えながら目的を達成できます。

①希望退職②退職勧奨③整理解雇の順で進める

基本的には、希望退職の募集・退職勧奨・整理解雇の順で進めるのが望ましい手順です。まず希望退職者を募集することで、自発的な退職を促し、必要最小限の人数で人材整理を完了できる可能性があります。

希望退職では募集時期・人数・条件を明示し、従業員の納得を得ることが重要です。募集要項には退職金の優遇措置、再就職支援の内容、応募期間などを具体的に記載し、従業員が十分に検討できる期間を設けましょう。

面談内容を記録し優遇措置も提示する

退職勧奨における面談の内容・回数は記録を残しておくことが重要です。面談日時、参加者、話し合った内容、従業員の反応などを詳細に記録し、適法な退職勧奨を行っていることを証明できるようにしておきましょう。

また、退職勧奨時は、優遇措置(退職金割増・再就職支援等)を提示し円満な合意形成を目指しましょう。退職金の割増支給、有給休暇の完全消化、再就職支援サービスの提供など、条件を具体的に提示することで、従業員にとってもメリットのある退職条件を整えます。

強い態度や不利益を伴う退職の強要を行わない

従業員が応じないからといって、強硬な態度で退職を迫ると退職強要やパワーハラスメントに該当する可能性があります。

面談では冷静で丁寧な対応を心がけ、従業員の人格を尊重した話し合いを行ってください。また、一方的な給料の減額など、根拠のない待遇の悪化をちらつかせることもリスクがあります。

「退職しなければ給料を下げる」といった脅迫めいた発言は、違法行為に該当してしまいます。あくまで本人の合意をもとに、条件交渉を行うことが大切です。

人材整理での急な出費にはファクタリングがおすすめ

人材整理を実施する際には、退職金の支払いや新規採用のための費用など、まとまった資金が必要になる場合があります。

迅速な資金調達手段としては、ファクタリングの活用を検討することがおすすめです。ファクタリングは売掛債権を現金化する資金調達方法で、銀行融資よりも審査が通りやすく、短期間で資金を確保できるメリットがあります。

人材整理時は退職金などのまとまった資金が必要になる

退職金や採用費用など、人員整理時はまとまった資金が必要です。

特に退職勧奨を成功させるために退職金の割増支給を行う場合、通常の退職金よりも多額の資金が必要となります。複数の従業員が同時期に退職するともなれば、数百万円から数千万円の支出が発生することもあるでしょう。

また、人材整理後の新規採用では、求人広告費、人材紹介会社への手数料、面接や研修にかかる費用なども発生します。タイミング悪く、納税や人件費の支払いと時期が重なると、資金ショートのリスクが高まってしまうのです。

ファクタリングは売掛債権を現金化する資金調達方法

ファクタリングは、簡単に言えば売掛債権を現金化する資金調達方法です。通常、銀行融資では財務状況や返済能力が重視されます。一方でファクタリングは、売掛先の信用力が主な審査対象となるため、融資よりも審査に通りやすいだけでなく、自社の業績が一時的に悪化していても利用できる場合があります。

また、申込みから資金調達まで、最短即日から数日程度で完了するため、急な資金需要にも対応可能です。

正規サービスを利用し計画的な資金運用を心がける

ファクタリングの利用を検討する際は、手数料や契約条件を事前に確認し、複数社を比較検討しましょう。

ファクタリング会社により手数料率や契約条件が異なるため、複数社から見積もりを取得しないと損をするおそれがあるからです。また、ファクタリングは違法業者も多いため、利用時は注意しなければなりません。

中には、法外な手数料を請求してくる業者も存在しているため、契約内容を十分に確認してから利用することを心がけてください。

【今回のまとめ】
解雇・退職勧奨は適法な範囲で慎重に!資金不足にはファクタリングもおすすめ
解雇と退職勧奨は、正しい理解に基づいて進める必要があります。人材整理を行う際は、希望退職から始まり退職勧奨、整理解雇という段階的に取り組むことで、法的リスクを最小限に抑えながら目的を達成できるでしょう。

ただし、退職勧奨には費用負担が付き物です。人材整理に伴う急な資金需要には、ファクタリングが有効な解決策の1つです。もし、ファクタリングやその他の資金調達についてお困りであれば、ぜひワイズコーポレーションまでお気軽にご相談ください。
弊社は事業者様と共に
ファクタリングサービスを通じて
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