電子記録債権(でんさい)とファクタリングの併用は可能?自社に合った選び方を解説
【記事更新 】
2026/02/10
資金繰りに頭を悩ませるとき、電子記録債権(でんさい)やファクタリングといった言葉を耳にする機会は多いのではないでしょうか。
電子記録債権やファクタリングには、それぞれ異なる特徴があります。
経営状況に合わせて選ぶことで、安定した資金繰りにつながるでしょう。
本記事では電子記録債権やファクタリングの基礎知識や併用方法、自社に合った選び方を解説します。
電子記録債権(でんさい)とファクタリングの基礎知識
資金調達の選択肢として知っておきたい、電子記録債権(でんさい)とファクタリングの基礎知識を分かりやすくまとめました。
電子記録債権(でんさい)とは
電子記録債権(でんさい)は、従来の手形や振込に代わる債権管理の方法です。
2008年に施行された法律に基づき誕生した仕組みで、全国の銀行が参加する「でんさいネット」などの記録機関を通じて、債権の発生や譲渡、決済をオンライン上で行います。
紙の手形のように現物を保管する必要がないため、紛失や盗難のリスクがなく、印紙税もかかりません。
また、必要な分だけ債権を分割して他社への支払いに充てられる点も特徴です。
ファクタリングとは
ファクタリングは、企業が保有している売掛債権や請求書を専門業者に買い取ってもらうことで、支払期日より前に現金を受け取る仕組みです。
通常、取引先からの入金には数ヶ月かかる場合もありますが、ファクタリングを利用すれば最短即日で資金調達を行えます。
銀行融資のような借り入れではないため、負債を増やす心配がなく、審査のハードルも比較的低い傾向にあります。
月末の給料支払いや急な設備投資が必要な際に、スピーディーに現金化する選択肢として、中小企業のつなぎ資金に活用されています。
両者の根本的な違いとは
電子記録債権とファクタリングの大きな違いは、取引の目的や手続きの仕組みにあります。
| 項目 | 電子記録債権(でんさい) | ファクタリング |
|---|---|---|
| 主な目的 | 支払事務の効率化・ペーパーレス化 | 早期の資金調達・キャッシュフロー改善 |
| 取引の形態 | 銀行を通じた決済手段(手形の代わり) | 売掛債権の売買(資産の現金化) |
| 相手方の同意 | 支払企業・受取企業双方の登録が必要 | 2者間契約なら売掛先の同意は不要 |
| 調達スピード | 期日での支払いが基本 | 最短即日での現金化が可能 |
急な人件費の支払いや残高不足を回避したい場面では、調達スピードに優れたファクタリングが適しています。
電子記録債権(でんさい)とファクタリングの併用は可能?
電子記録債権とファクタリングの併用は可能です。
日々の取引には電子記録債権を使い、至急現金が必要になった際にはファクタリングを選ぶといった使い分けが望ましいです。
例えば、取引先から電子記録債権で支払いを受けている場合、支払い期日が来る前にファクタリング業者へ売却して現金化する運用も可能です。
複数の資金確保の方法を用意することで、月末の支払いや給料の支払い、急な設備投資といった場面でも慌てずに対応できます。
電子記録債権(でんさい)が選ばれる理由
デジタル技術を活用した債権管理には、多くの経営者が注目する理由があります。
コストや手間を抑えるメリットについて、詳しく見ていきましょう。
手形の紛失や盗難リスクが無い
紙の手形を扱う際は、金庫に保管したり郵便で送ったりと、管理に細心の注意を払う必要があります。
もしも手形を無くしたり盗まれたりすると、警察への届け出や裁判所での手続きなど、多くの手間と時間がかかってしまいます。
電子記録債権であれば、金融機関のシステム上でデータとして記録されるため、現物を失う心配がありません。
情報の書き換えや偽造のリスクも低く、社外へ持ち出す際の不安も解消されます。
印紙税などのコストを削減できる
紙の手形を発行するときは、金額に応じた収入印紙を貼る必要があります。
取引の額が大きくなるほど印紙代もかさみますが、電子記録債権は紙を使わないため、印紙税がかかりません。
他にも、手形を送るための郵送費や封筒代、管理にかかる事務的なコストも削減できます。
毎月の取引数が多いほど、印紙代といった経費を抑える効果が大きくなるでしょう。
電子記録債権よって浮いた資金を、人件費や設備投資に回せるようになるため、経営の効率を高められます。
支払い手続きを効率化できる
電子記録債権は、パソコン操作のみで取引が完結するため、経理業務が負担を軽くなります。
オンライン上で手続きを済ませれば、事務所にいながら支払いや譲渡が完了します。
支払い期日になれば、指定した銀行口座へ自動的に代金が振り込まれる仕組みのため、取立の手続きを忘れるミスも防げます。
また、受け取った債権を必要な金額だけ分割して他社への支払いに充てることも可能です
ファクタリングが選ばれる理由
緊急の資金調達が必要な場面で、多くの事業者が活用するのがファクタリングです。
入金のスピード感や審査の柔軟性など、ファクタリングが選ばれる主な理由を分かりやすく整理しました。
最短即日で資金を調達できる
銀行の審査結果を待っていると、入金までに数週間から1ヶ月程度の時間がかかるケースが多いです。
急いで現金を用意しなければならない場面では、申し込みをしたその日のうちに売掛金を現金化できるファクタリングが役立ちます。
月末の支払いや人件費、急な仕入れなど、手元の資金が足りない緊急時にも対応できる点が魅力です。
オンライン完結の手続きを選べば来店不要で申し込めるため、忙しい合間を縫ってスピード資金を確保したい経営者の方に向いています。
売掛先の倒産リスクを回避できる
買取型のファクタリングを利用して売掛債権を売却すると、取引先の倒産による未回収の不安が無くなります。
多くの契約では償還請求権がない形式を採用しているため、売却後に売掛先の経営が悪化しても、受け取った代金を返還する義務は生じません。
取引先の経営状態が不安定な場合でも、入金日を待たずに現金を回収することで、自社の連鎖倒産を防ぐことにつながります。
貸し倒れのリスクをファクタリング会社へ移転できることは、大きなメリットといえるでしょう。
赤字や債務超過でも利用できる
銀行融資では自社の決算内容や過去の業績が厳しく評価されますが、ファクタリングの審査では、売掛先の支払い能力や信頼性が重視されます。
自社が赤字決算や債務超過といった厳しい状況にあっても、支払い能力の高い取引先への請求書があれば、審査が通りやすくなります。
他社で融資を断られた経験がある方や、税金の滞納などで銀行の審査に通らず困っている方でも利用しやすいです。
借り入れとは異なり負債は増えないため、手元にある売掛債権を活用して、資金繰りのピンチを乗り越えられます。
自社に合った方法を選ぶポイント
資金繰りの悩みを解消するには、自社に合ったポイントを選ぶことが求められます。
電子記録債権(でんさい)かファクタリングを選ぶべきかの考え方について解説します。
売掛先がでんさいを利用している
電子記録債権の活用には、支払う側と受け取る側の双方がシステムに登録を済ませている必要があります。
自社だけで導入を決めても、売掛先が従来の手形や振り込みを希望している状況では、電子化のメリットを十分に活かすのは難しいかもしれません。
まずは、主要な取引先がでんさいネットなどの機関に対応しているかを確認して、業界全体の普及度を確かめてみるのも良いでしょう。
一方で、ファクタリングであれば、身分証明書や請求書があれば手続きが行えるため、自社の判断のみで資金繰りの改善を進められます。
資金が必要になるタイミングを把握する
現金を確保すべき期限によって、電子記録債権(でんさい)かファクタリングを選ぶべきかの基準も変わります。
支払い期日まで日数に余裕があり、計画的に管理コストを抑えたいなら電子記録債権が向いています。
一方で、数日以内に人件費の支払いや月末の決済を済ませなければならないといった緊急時には、ファクタリングが頼りになります。
つなぎ資金が必要になる時期を正確に予測し、時間の猶予があるかどうかで判断を分けるのが良いでしょう。
スピード資金を優先すべき状況であれば、利便性の高い債権買取を優先してください。
償還請求権の有無を確認する
契約を結ぶ際には、万が一売掛金の回収が難しくなった場合の責任の所在を明確にしておきましょう。
一般的なファクタリングでは、利用者が支払いの責任を負わない「償還請求権なし」が主流ですが、手形割引では責任を問われる「あり」の契約となります。
不測の事態で自社の資金繰りを悪化させないためには、リスクを完全に切り離せる内容であるかを事前に確かめなければなりません。
取引先の倒産リスクを避けることを優先するなら、ファクタリングを選ぶのが安心です。
手数料と調達スピードを比較する
手数料の安さと、入金までのスピードのバランスを比べることも大切です。
電子記録債権の手続きは、手数料が低く抑えられる反面、即座の現金化には向きません。
一方で、ファクタリングは手数料が数%から10~20%程度かかる場合もありますが、数時間から数日でのスピード調達が実現します。
手数料を抑えて日数を待てる状況なのか、手数料を払ってでも今すぐスピード資金を手に入れるべき場面なのか、自社の手元の残高不足の度合いと照らし合わせてください。
事務作業の効率化では電子記録債権を、現金を至急準備したいときはファクタリングを活用することをおすすめします。
電子記録債権とファクタリングの特徴を正しく理解し、資金状況や取引先との関係に合わせて柔軟に使い分けるようにしましょう。
万が一の残高不足に備えたいときは、入金待ちの売掛債権を活用できるファクタリングを、会社経営の味方にしてはいかがでしょうか。





