取引先が危ない?事業撤退の5大兆候+対処法を解説します
【記事更新 】
2022/12/20
混迷する世界情勢や終息の気配の見えない新型ウイルス禍などを背景に、国内では物価高が続き、消費者だけでなく企業もまた厳しい経済状況に置かれています。
そのような状況下においては、企業間のトラブルもまた多くみられるようになってきます。
取引先との間で大きな影響を及ぼすものの一つとして、「取引先の事業撤退」が挙げられます。
この事態が発生すると、最悪の場合、自社側の事業継続の困難も引き起こしかねません。
そこで今回は、取引先が事業撤退する際にみられる兆候や、兆候が見られた時の対処方法、取引先の事業撤退によって発生するリスクについて解説します。
また、売掛金が回収できない場合のファクタリングの利用についても提案します。
取引先が事業撤退する際にみられる兆候
まずは、取引先が事業撤退する際にみられる兆候をまとめてみました。
支払い遅れが発生したり、値下げ交渉が増加する等、お金に関する問題が見られる場合、資金難の可能性があります。
もちろん1つの兆候だけでは、即事業撤退と考えることはできませんが、いくつも複合してみられる場合は特に要注意です。
支払い遅れが発生する
取引先からの支払い遅れは、事業撤退の兆候の一つです。
取引先の経営状態が悪化していると支払い遅れが発生しやすくなります。
支払いが遅れているだけで、支払いはなされている場合も安心はできません。
このように資金繰りが悪化している分野からは撤退するのが、経営上の通常の判断です。
それゆえに、支払い遅れの発生が事業撤退の兆候であるといえます。
値下げ交渉が増加する
値下げ交渉の増加も事業撤退の兆候の一つです。
該当の事業に対してお金をかけられないという動きの現れである可能性があります。
取引先を慮って値下げに応じたとしても、今後取引が続かない可能性も考えられます。
社長と連絡がつきづらくなる
資金繰りが悪化すると、資金調達や支払いの延期などで経営者は動き回る事態になります。
そのように動き回る事態に陥ると、連絡がつきづらくなる場合があります。
さらに業績が悪化し都合が悪くなると、逃亡する社長も少なくありません。
社長と連絡が取れないと、結果的に資金についても回収できなくなる可能性が高くなります。
従業員の退職が増加する
資金繰りの悪化は、従業員の給料の支払いにも影響が出る可能性があります。
そのため、そのような会社では従業員の退職が増加することがあります。
自社への営業担当が頻繁に変わったり、見かけなくなったスタッフが多くなってきたら注意が必要です。
新たな事業を始める
今の事業からの撤退に向けて、新しい事業を始めるケースが往々にしてあります。
利益を見込めない事業から撤退する代わりに、他の事業で利益を確保しようとする動きをする、というわけです。
取引が縮小すると同時に、取引先が新たな事業を始めた場合、(自社と取引をしている)事業からの撤退の可能性を疑ってみましょう。
取引先に事業撤退の兆候がみられた場合の対処法
ここでは、取引先に事業撤退の兆候が見られた場合の対処法を解説します。
取引先が事業撤退をすると、資金回収ができなくなるリスクがあるので、そのシミュレーションや対策をしておくことが大切です。
また、取引の停止や他の取引先の確保などに動いておくのも一つの手段です。
担保や保証人が設定されているか契約を確認する
まず、売掛金を回収するための「決まり」を作成しているかどうかを確認することが大切です。
具体的には、取引先の不動産の抵当権が設定されているか、回収できない場合の保証人が誰になっているのか、などです。
このような設定があれば、事業撤退により売掛金が回収不能に陥った場合でも、回収できる可能性が高くなります。
資金回収できない可能性をシミュレーションする
資金が回収できなかった場合についてのシミュレーションをしておきましょう。
回収できない場合、自社の存続に影響するレベルなのか、それとも損切りできるレベルなのか、それによってとるべき対処も変わってきます。
そして、万が一に備えて手を打つ必要がある場合、早めに動く必要があります。
取引を減らす・停止する
事業撤退の兆候が見られた場合、取引を減らしたり、停止することも視野にいれましょう。
取引の規模が大きければ大きいほど、取引先の事業撤退時の自社へのダメージも大きくなります。
そのため、取引を減らしていく方向に考えておきましょう。
実際に撤退してしまった時点になってからはじめて対策を取ろうとすると、自社へのダメージが大きくなってしまいます。
兆候が見られた時点で最悪の事態を想定しておきましょう。
競合他社との取引を検討する
競合他社との取引を考えるのも一つの手段です。
競合他社と取引をすることで、該当の取引先の比重を減らすことができます。
こうしておけば、取引先が本当に事業撤退してしまった場合でも、自社の受けるダメージを減らすことができます。
さらにいえば、事業撤退の兆候が見られるかどうかにかかわらず、1社に比重をおいた取引はせずに、分散させておくことが、経営において大切にするべきスタンスです。
取引先の事業撤退で発生するリスク
それでは、取引先の事業撤退が起こってしまった場合、どの様なリスクが発生するのでしょうか。ここではそれについて解説します。
考えられるリスクは主に、「自社事業に影響が出る可能性」と「売掛金が回収できなくなってしまう」という2点です。
自社事業の停止
同じ事業での取引先が他にもあれば良いですが、該当の1社であった場合、自社の事業の一部もしくは全体も止まってしまう危険性があります。
たとえば、取引先に商品の加工を依頼していた場合、その加工ができなくなってしまい商品が作れなくなってしまう、といった事態が発生します。
こちらも納期を遅らせてしまう様な事態になれば、事業全体の継続も怪しくなってしまいます。
売掛金の回収不能
事業撤退が資金難からのものであった場合、売掛金も回収できない可能性があります。
売掛金が回収できない場合、自社も資金難に陥る可能性が出てきます。
さらには、自社の利益が減ると、銀行からの融資が受けにくくなる事態も想定され、資金繰りはより厳しいものになります。
取引先が事業撤退!その時できること
取引先が事業撤退する事態が発生した時に、売掛金が回収できていれば致命的な問題にはなりませんが、未払いのまま撤退されてしまうと大きな問題になります。
取引先が事業撤退に伴い、支払いをしてもらえない場合、別の資金調達をする必要があります。
そんな時に頼りになるのがファクタリングです。ファクタリングとは、売掛金をファクタリング会社へ売却することによって、手数料を差し引かれた代金を受け取って資金調達する手法です。
手数料は差し引かれますが、入金期日を待たずに資金を調達することができます。
前述のような取引先の事業撤退の影響で資金繰りが悪化したときなど、検討の余地のある手法です。
また、売掛金が回収できない場合のファクタリングの利用についても提案しました。
取引先が事業撤退する背景には、取引先の資金繰りの悪化があることがほとんどです。
だからこそ、資金繰りの悪化の兆候を見逃さないようにすることが大切になります。
そして、取引先の事業撤退は、実際にそれが発生してから対処するのではダメージが大きくなる傾向にあります。
今回述べた各種兆候を見逃さないようにしましょう。