オフィス家具の買い取り依頼は可能？相場は？それ以外の金策方法も解説します

資金繰りに窮している経営者にとって、社内の資産を現金化することは喫緊の課題です。

特にオフィス家具の売却は即効性ある資金調達手段の一つとして考えられるかもしれません。

しかし、結論から申し上げると、オフィス家具の買い取りは可能ですが、その査定額は（多くの場合）期待に沿うものではなく、資金繰りの抜本的な解決には繋がりません。

緊急かつまとまった資金が必要な場合は、売掛債権を早期に現金化できる「ファクタリング」の検討が最も現実的で迅速な解決策となります。

この記事では、オフィス家具の買い取りの現実的な相場と、経営者の皆様が直面する資金難を乗り越えるための、より確実な金策方法について詳しく解説します。

【売れる？売れない？】オフィス家具買い取りの現実と相場

経営者がオフィス家具の売却を検討される際、その目的は「少しでも多く資金を得たい」という点に集約されるでしょう。

しかし、オフィス家具の買い取り市場は、一般的なイメージとは異なる現実があります。

オフィス家具の買い取りは可能だが、査定額は低い

オフィス家具は、中古市場において需要があるため、専門の買取業者やリサイクルショップに依頼することで買い取ってもらうことは可能です。

ただし、ここで認識しておくべき重要な点は、買い取り価格が新品の購入価格と比べて著しく低いという事実です。

オフィス家具は一度設置されると、移動や使用に伴う傷や汚れが避けられず、また、デザインや機能の陳腐化も早いため、高額査定は期待できません。

特に、資金繰りに困窮している状況下では、売却を急ぐあまり、適正価格での交渉が難しくなる場合もあります。

経営者の皆様は、家具の売却による収益を過大に見積もることなく、あくまで一時的な小口の現金化手段として捉えるべきでしょう。

主要なオフィス家具の買取相場目安（デスク、チェア、キャビネット）

具体的な買取価格は、家具の状態、メーカー、モデル、製造年などによって大きく変動します。一般的な相場としては、以下のような目安を参考にしてください。

この表からも分かる通り、例えば数万円で購入したデスクであっても、買取価格は数千円程度に留まることがほとんどです。

経営者が求める「まとまった資金」の調達には、オフィス家具の売却だけでは力不足であると言わざるを得ません。

買取価格を左右する3つの要素（メーカー、状態、製造年）

オフィス家具の査定額を決定する主な要素は三つあります。

・メーカー
・状態
・製造年

で、やはり重要なのはメーカーのブランド力です。

オカムラ、コクヨ、イトーキなどの大手メーカーの製品は、品質と信頼性から中古市場でも一定の需要があり、ノーブランド品に比べて高値がつきやすい傾向があります。

またオフィス家具のモデルチェンジは比較的頻繁に行われるため、製造から年数が経過している製品は、たとえ状態が良くても査定額が下がる傾向にあります。

一般的に、製造から5年以内が一つの目安とされています。

【オフィス家具】買取業者に依頼する前に知っておくべき注意点と高く売るコツ

オフィス家具の売却を決断した場合、少しでも有利な条件で現金化するために、経営者として知っておくべき注意点と、査定額を向上させるための具体的な準備があります。

買取を断られるケースと、リユース・リサイクルの現状（環境省情報）

全てのオフィス家具が買い取り対象となるわけではありません。

特に、破損が激しいもの、製造から10年以上経過しているもの、需要の低い特殊な家具などは、買取を断られる可能性が高くなります。

このような場合、経営者は自社で費用を負担して処分する必要が生じます。

専門業者とリサイクルショップ、どちらを選ぶべきか

オフィス家具の買い取りを依頼できる業者は、大きく分けて「オフィス家具専門の買取業者」と「総合リサイクルショップ」の二種類があります。

専門業者は、オフィス家具の市場価値やブランド価値を正確に把握しており、特に高額なブランド品や大量の家具を一括で売却する際に、適正な査定額を提示してくれる可能性が高くなります。

一方で、総合リサイクルショップは、利便性が高いものの、専門的な知識が不足している場合があり、査定額が低くなる傾向があります。

経営者の皆様には、売却したい家具の種類や量に応じて、複数の専門業者から相見積もりを取ることを推奨します。

査定額アップのために経営者ができる準備と交渉術

査定額を少しでも向上させるためには、事前の準備が欠かせません。まず、家具の清掃を徹底し、可能な限り購入時に近い状態に戻しておくことが重要です。

また、取扱説明書や付属品、特に鍵やパーツなどが揃っているかを確認してください。

交渉術としては、売却したい家具の新品価格、中古市場での流通価格を事前に調べておくことで、業者との価格交渉を有利に進めることができます。

さらに、複数の業者から見積もりを取得し、最も高い査定額を提示した業者を競合として利用することも有効な手段です。

オフィス家具売却では間に合わない！緊急時の資金調達方法を比較

オフィス家具の売却は、あくまで「微々たる資金の足し」にしかなりません。

経営者が直面する資金難は、事業継続に関わる重大な問題であり、より迅速かつ確実な資金調達方法を検討する必要があります。

融資・借入のメリットと審査にかかる時間（日本政策金融公庫など）

最も一般的な資金調達方法は、金融機関からの融資や借入です。日本政策金融公庫などの公的機関からの融資は、金利が低く、返済期間も長めに設定できるというメリットがあります。

しかし、これらの融資には厳格な審査が必要であり、申し込みから資金が実行されるまでに数週間から数ヶ月の時間を要することが一般的です。

緊急性の高い資金需要には対応が難しいため、時間的な余裕がある場合の選択肢となります。

補助金・助成金の活用と資金化までのタイムラグ（中小企業庁情報）

補助金や助成金も、返済の必要がない資金として魅力的です。中小企業庁をはじめとする公的機関からは、様々な事業支援のための制度が提供されています。

原則として返済が不要となる場合が多く、利用者のメリットが大きい制度ですが、募集期間が定められていたり、年度によって内容が異なっていたりするなど、補助金・助成金ならではの注意すべきポイントがあります。

ただ一般的に採択されるまでに時間を要し、また、原則として事業実施後の「後払い」となるため、資金化までに大きなタイムラグが発生します。目の前の資金繰りを解決するための手段としては、不向きであると言えます。

売掛金を早期現金化する「ファクタリング」の仕組みと特徴

緊急性の高い資金需要に対応できる手段として、近年注目されているのが「ファクタリング」です。

ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却し、支払期日前に現金化する金融サービスです。

一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス（事業者の資金調達の一手段）であり、法的には債権の売買（債権譲渡）契約です。

この仕組みの最大の特徴は、売掛債権の売買であるため、融資とは異なり、経営者の信用情報や担保の有無が審査に大きく影響しない点です。これにより、迅速な資金調達が可能となります。