取引先からの未収金(売掛金)回収遅延・不能時の資金繰り策を徹底解説

取引先からの未収金(売掛金)回収遅延・不能時の資金繰り策を徹底解説

【記事更新 】

2025/11/25

未収金、すなわち売掛金の回収遅延や不能は、中小企業や自営業を営む経営者にとって、事業の継続を脅かす深刻な問題です。

特に資金繰りに余裕がない状況で取引先からの入金が滞ると、連鎖的に仕入れや従業員への支払いに影響を及ぼし、最悪の場合には黒字倒産に追い込まれる危険性もあります。

しかし、この問題は決して避けて通れないものではありません。重要なのは、感情的にならず、法的な根拠に基づいた適切な手順と、資金繰りのための代替手段をあらかじめ知っておくことです。

本記事では、「取引先から未収金が発生した」という緊急事態に直面した社長が、冷静に、そして確実に対応するために取るべき行動を、初期対応から資金調達、再発防止策まで総まとめにして解説します。

未収金発生!社長が冷静に取るべき「初期対応」の全貌

取引先からの入金予定日に支払いが確認できなかった場合、経営者はまず冷静になり、迅速かつ正確な初動対応を行うことが極めて重要です。

この初期段階での対応が、その後の回収の成否を大きく左右します。感情的な催促ではなく、証拠に基づいた事務的な対応を心がけてください。

契約書・請求書から「債権の確実性」を再確認する

未収金が発生した際、まず確認すべきは、その債権が法的に有効で、金額や支払期日が明確であるかどうかという「債権の確実性」です。

売買契約書や業務委託契約書、発注書、そして発行済みの請求書をすべて確認し、取引内容、金額、納品時期、支払期日といった基本情報を再検証する必要があります。

特に、口頭での合意のみで取引を進めていた場合は、メールやFAXなどのやり取りも含め、債権の存在を証明できる証拠を整理しておくことが不可欠です。

電話やメールではなく「内容証明郵便」で督促する理由

初期の段階では電話やメールで支払いを促すこともありますが、回収が難航し始めたら、速やかに「内容証明郵便」による督促に切り替えるべきです。

内容証明郵便は、いつ、どのような内容の文書を、誰から誰へ差し出したかを郵便局が公的に証明する制度です。

なお内容証明郵便による督促は、時効の完成を一時的に阻止する「催告」の役割も果たします。

内容証明郵便で債務者に対して請求書を送付することは、民法上の催告に該当し、その時から6か月を経過するまでの間は時効が完成しません(時効の完成猶予(中断))。

取引先の経営状況を「信用情報機関」で調査する重要性

(言わずもがなですが)未収金が発生した背景には、単なる事務的なミスではなく、取引先が深刻な資金難に陥っている可能性が考えられます。

回収の方針を決定するためには、取引先の真の経営状況を把握することが不可欠です。

交渉で回収を目指すのか、それともすぐに法的手段に移行すべきかの判断材料が得られます。

交渉決裂後の「法的手段」を段階的に理解する

初期の督促や交渉によっても未収金の回収が困難な場合、経営者は法的手段の検討に進まざるを得ません。

流れを解説します。

費用を抑えた「支払督促」と「少額訴訟」の活用法

裁判所を通じた手続きの中でも、比較的簡易で費用を抑えられるのが「支払督促」と「少額訴訟」です。

支払督促は、債務者からの異議申し立てがなければ、裁判所が債務者に対して支払いを命じる手続きであり、迅速な解決が期待できます。

一方、少額訴訟は、原則として審理が1回で終了し、即日判決が下されることを目指す手続きです。ただし、少額訴訟を利用できるのは、請求額が六十万円以下の場合に限られます。

少額訴訟手続は、六十万円以下の金銭の支払を求める場合に限ります。

迅速な回収を目指す「民事調停」と「訴訟」の選択肢

少額訴訟の対象とならない高額な債権や、当事者間の話し合いによる解決を望む場合は、「民事調停」や通常の「訴訟」を検討します。

民事調停は、裁判官と調停委員が間に入り、当事者間の合意による解決を目指す手続きです。

最終手段としての「強制執行」と債権保全の考え方

支払督促や訴訟で勝訴し、判決や確定した支払督促を得ても、債務者が任意に支払いに応じない場合は、「強制執行」の手続きに進みます。

強制執行は、裁判所の権限で債務者の財産(預金、不動産、売掛金など)を差し押さえ、強制的に回収する手続きです。

この強制執行を実効性のあるものにするため、訴訟提起前や提起と同時に、債務者の財産を仮に差し押さえる「債権保全」の措置を講じることも重要です。

未収金が資金繰りを圧迫する際の「緊急資金調達策」

未収金問題の厄介な点は、回収に時間がかかることで、自社の資金繰りが悪化してしまうことにあります。

特に中小企業の場合、回収を待っている間に運転資金が枯渇してしまう事態は避けなければなりません。

銀行融資に頼れない時の「売掛債権担保融資」の検討

「売掛債権担保融資」というものがあります。

売掛債権を担保として金融機関から融資を受けるものであり、中小企業庁の施策として、信用保証協会が保証を行う制度も創設されています。

中小企業者が売掛先に対して保有している売掛債権を担保として金融機関が融資を行う場合に、信用保証協会が保証を行う制度が平成十三年十二月に創設されました。

最短即日で現金化が可能な「ファクタリング」の仕組みと注意点

さらに迅速な資金調達が必要な場合に有効なのが、「ファクタリング」です。

ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権を期日前にファクタリング会社に買い取ってもらい、現金化するサービスです。法的には債権の売買契約であり、融資とは異なります。

公的機関による「経営改善・資金繰り相談窓口」の活用

なお、こうした資金繰りや経営改善に関する悩みは、一人で抱え込まず、公的機関の相談窓口を活用すべきです。

もしくはファクタリング会社の中でも当社のようにビジネス・商売に習熟したスタッフが在籍する会社であれば、ファクタリングの申し込み・審査の間にこうした話が雑談として飛び出すケースもあるでしょう。

未収金を「二度と発生させない」ための予防と管理体制

未収金問題は、発生後の対応もさることながら、発生そのものを防ぐ予防策を講じることが最も重要です。

回収業務に追われる時間を削減し、本業に集中できる体制を構築するため、社長は管理体制の強化に努めるべきです。

取引開始前の「与信管理」を徹底するチェックリスト

未収金リスクを最小限に抑えるには、取引開始前の「与信管理」が鍵となります。

新規取引先に対しては取引先の業界における評判や、過去の支払い履歴なども可能な限り調査してください。

チェック項目 確認方法 評価基準(例)
資本金・業績 登記簿謄本、決算書 債権額に見合う資本力があるか
代表者の経歴 商業登記簿、情報調査 過去に問題となる経歴がないか
取引履歴・評判 業界関係者、信用調査機関 支払い遅延の履歴がないか
契約書の整備 契約書のチェック 支払条件、期限、遅延損害金が明確か

【万が一の場合】回収業務を効率化する「債権管理回収業(サービサー)」の利用も

自社での回収業務が本業を圧迫し始めている場合、専門業者への委託も一つの選択肢です。

法務大臣の許可を得た「債権管理回収業」(サービサー)は、特定金銭債権の管理・回収を業として行うことができます。

この法律において「債権管理回収業」とは、弁護士、弁護士法人又は弁護士・外国法事務弁護士共同法人以外の者が委託を受けて法律事件に関する法律事務で、特定金銭債権の管理及び回収を、業として行うことをいう。

サービサーに委託することで、経営者は回収業務のストレスから解放され、本業に集中できるようになります。ただし、委託費用が発生するため、債権額や回収可能性を考慮して判断すべきです。

【今回のまとめ】
未収金問題を乗り越え事業を継続させる社長の決断
取引先からの未収金発生は、経営者にとって最大の試練の一つですが、適切な知識と手順を踏めば、必ず乗り越えることができます。

もし、今すぐ運転資金を確保し、事業の継続と成長を確実なものにしたいとお考えでしたら、売掛金を最短即日で現金化できるファクタリングをご検討ください。
弊社は事業者様と共に
ファクタリングサービスを通じて
社会へ繋がっていきます。