ノンリコース・リコースファクタリングの違いをわかりやすく解説

ノンリコース・リコースファクタリングの違いをわかりやすく解説

【記事更新 】

2026/04/14

ファクタリングを利用する際、契約の種類として「ノンリコース」と「リコース」という言葉を目にすることがあります。この2つの違いは、万が一売掛金が回収できなかった場合に誰がリスクを負うかという点にあり、契約内容を大きく左右する要素です。

ファクタリング会社を選ぶ際に見落としがちなポイントですが、どちらの契約形態であるかを理解しておくことは、自社のリスク管理のうえで非常に重要です。本記事では、ノンリコースとリコースの違いやそれぞれのメリット・デメリット、そしてどちらを選ぶべきかの判断基準について詳しく解説していきます。

ファクタリングにおける「ノンリコース」と「リコース」とは

まず基本的な定義を整理しておきましょう。ノンリコース(Non-Recourse)は「償還請求権なし」を意味し、リコース(Recourse)は「償還請求権あり」を意味します。これはファクタリング会社が売掛債権を買い取った後、売掛先が支払いを行わなかった場合にどうなるかを定めた条件です。

ノンリコースファクタリングでは、売掛先が倒産するなどの理由で売掛金が回収できなくなったとしても、利用企業がその金額をファクタリング会社に返済する義務はありません。一方、リコースファクタリングでは、売掛金が回収できなかった場合に利用企業がファクタリング会社に対して買い戻す義務が生じます。

ノンリコースファクタリングの特徴

ノンリコースファクタリングは、日本国内で一般的に提供されているファクタリングサービスの多くが採用している形態です。その主な特徴を確認していきましょう。

売掛先の倒産リスクを利用企業が負わない

ノンリコースファクタリングの最大の特徴は、売掛先が支払いをできなくなった場合のリスクをファクタリング会社が負担するという点です。売掛債権を売却した時点で、その債権に関するリスクは利用企業からファクタリング会社に移転します。

つまり利用企業にとっては、売掛金の回収不能というリスクを事実上ヘッジできるわけです。特に取引先の経営状況に不安がある場合や、新規取引先への売掛金をすぐに現金化したい場合には、このリスク移転効果は大きなメリットとなります。

たとえば、売掛先A社に対して100万円の売掛金があり、これをファクタリングで80万円で売却したとします。その後A社が倒産しても、利用企業がファクタリング会社に対して何らかの支払いを求められることはありません。ファクタリング会社が100万円の回収リスクをすべて引き受けたことになるためです。

手数料は比較的高めに設定される

リスクをファクタリング会社が引き受ける分、手数料はリコースファクタリングと比較してやや高くなる傾向があります。2社間ファクタリングの場合は一般的に10〜30%程度、3社間ファクタリングの場合は1〜9%程度が目安とされています。

ファクタリング会社としては、売掛先の信用リスクを自社で負担することになるため、そのリスクに見合った手数料を設定する必要があるわけです。逆に言えば、売掛先の信用力が高いほど手数料が低くなりやすいという側面もあります。

法的には「債権の売買」として成立する

ノンリコースファクタリングは、売掛債権の完全な売買として扱われます。利用企業に買い戻し義務がないため、法的にも債権譲渡契約としての性格が明確です。そのため、貸金業法の規制対象にはならず、ファクタリング会社は貸金業登録を必要としません。

この点は、後述するリコースファクタリングとの法的な違いとして非常に重要なポイントです。

リコースファクタリングの特徴

一方、リコースファクタリングにはどのような特徴があるのでしょうか。ノンリコースとの違いを踏まえながら見ていきましょう。

売掛金が回収できない場合は買い戻し義務が発生する

リコースファクタリングでは、売掛先が倒産した場合や支払いが滞った場合に、利用企業がファクタリング会社に対して売掛金の買い戻しを求められます。つまり、売掛先の信用リスクは最終的に利用企業が負うことになります。

このため、リコースファクタリングは単純な資金の早期回収手段としての意味合いが強く、リスクヘッジの効果はノンリコースと比較して限定的です。売掛金を早期に現金化できるという点ではメリットがありますが、売掛先の経営悪化や倒産といった事態が発生した場合には、調達した資金に相当する額を返さなければならないリスクがあることを十分に理解しておく必要があります。

手数料が比較的低く抑えられる

ファクタリング会社にとって売掛先の信用リスクを負わないため、手数料はノンリコースファクタリングよりも低く設定される傾向にあります。コストを最小限に抑えて売掛金を早期に現金化したい場合には、この点がメリットと感じられるかもしれません。

ただし、手数料が低い代わりにリスクを自社で抱えることになるため、単純にコスト面だけで比較するのは適切ではありません。

法的には貸付に該当する可能性がある

リコースファクタリングは、法的に「貸付」と見なされる可能性がある点に注意が必要です。利用企業に買い戻し義務がある以上、実質的には売掛債権を担保にした融資に近い性格を持つと解釈されるケースがあるためです。

この場合、ファクタリング会社には貸金業登録が必要となり、利息制限法や出資法の規制が適用される可能性があります。リコース契約を提供する会社が貸金業登録を行っているかどうかは、契約前に必ず確認しておくべきポイントです。

ノンリコースとリコースの比較

両者の違いを主要な項目ごとに整理していきます。

未回収リスクの負担先

ノンリコースでは売掛金が未回収となった場合のリスクをファクタリング会社が負担します。リコースでは利用企業がそのリスクを負い、回収不能時には買い戻し義務が発生します。経営の安定性を重視する企業にとっては、この違いが契約形態の選択における最大の判断材料となるでしょう。

手数料水準の違い

手数料についてはノンリコースの方がやや高く、リコースの方が低い傾向にあります。これはファクタリング会社が引き受けるリスクの大きさに比例しています。ただし、売掛先の信用力が高い場合にはノンリコースであっても手数料が抑えられるケースがありますので、複数の会社から見積もりを取ることが重要です。

法的な位置づけの違い

法的性質に関しては、ノンリコースは債権の売買として扱われ貸金業法の規制対象外となります。一方、リコースは買い戻し義務がある以上、実質的に貸付と見なされる可能性があり、その場合はファクタリング会社に貸金業登録が求められます。リコース契約を提示された場合には、その会社が貸金業登録を行っているかを確認することで、正規の事業者かどうかの判断材料にもなります。

会計処理上の扱い

会計処理においても両者は異なります。ノンリコースファクタリングの場合、売掛債権を売却した時点で貸借対照表から売掛金を除外できます。これにより資産の圧縮が可能となり、自己資本比率の改善にもつながります。リコースファクタリングの場合は、買い戻し義務があるため借入金として計上するケースもあり、財務指標への影響が異なる点に留意が必要です。

どちらを選ぶべきか?状況別の判断基準

ノンリコースとリコースのどちらが適切かは、利用企業の状況や目的によって異なります。いくつかのケースに分けて考えてみましょう。

リスク回避を最優先にする場合

取引先の経営状態に不安がある場合や、大口の売掛金を一括で現金化したい場合には、ノンリコースファクタリングが適しています。手数料が多少高くなるとしても、売掛金未回収のリスクを完全に移転できるメリットは大きいです。

特に、取引先が中小企業や新規取引先の場合は信用情報の把握が難しいため、ノンリコースによるリスクヘッジが有効です。

手数料を抑えて資金調達したい場合

取引先が大手企業や官公庁など信用力の高い相手であり、売掛金の支払いが確実に見込める場合は、リコースファクタリングを検討してもよいかもしれません。売掛先の倒産リスクが低い状況であれば、リコースの買い戻し義務が現実に問題となる可能性は低く、手数料のコストメリットを享受できます。

ただし、その場合でもリコース契約を提供する会社が貸金業登録を行っているかどうかの確認は欠かせません。

日本国内での一般的な選択

実際のところ、日本国内で利用されているファクタリングサービスの大半はノンリコースファクタリングです。特に2社間ファクタリングを中心に提供している会社では、ほぼ例外なくノンリコース形式が採用されています。

契約前には必ず「ノンリコース契約かどうか」を確認することを強くお勧めします。契約書に償還請求権に関する条項がない場合や、買い戻し条件が記載されている場合は、リコース契約である可能性があるため注意が必要です。

契約前に確認すべきポイント

実際にファクタリング契約を結ぶ前に、ノンリコース・リコースの観点から確認しておくべきポイントを整理しておきましょう。

契約書の「償還請求権」条項を確認する

契約書に「償還請求権」や「買戻し」に関する記載がないかを必ず確認してください。ノンリコース契約であれば、売掛先からの支払いがなかった場合に利用企業が責任を負わない旨が明記されているはずです。逆に、支払いが滞った場合に利用企業が弁済する義務が記載されていれば、それはリコース契約です。

ファクタリング会社の登録状況を確認する

もしリコース契約を提示された場合には、その会社が貸金業登録を行っているかを確認しましょう。貸金業登録番号は金融庁の登録貸金業者情報検索サービスで確認できます。登録なしにリコース契約を行っている業者は、法令に違反している可能性があります。

【今回のまとめ】
ノンリコース契約の確認が重要
ノンリコースファクタリングとリコースファクタリングの最も大きな違いは、売掛先が支払いを行わなかった場合のリスク負担にあります。日本国内で広く利用されているのはノンリコース形式です。契約前には必ずノンリコース契約であることを確認し、自社に合った条件で契約を結ぶようにしましょう。
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