給料ファクタリングは貸金業!最高裁判決と事業者が知るべき注意点を解説

給料ファクタリングは貸金業!最高裁判決と事業者が知るべき注意点を解説

【記事更新 】

2023/04/04

2023年2月、最高裁判所にて給料ファクタリングに関する判決が出ました。三審制の日本において、最高裁判決は今後の規範にもなりうる大変重要なものです。

そのため、今回は給料ファクタリングの最高裁判決をご紹介するとともに、改めて給料ファクタリングの概要をお伝えし、事業主の方が知っておくべき注意点について解説いたします。

結論から申し上げますと、一般的な事業者向けファクタリングは法的問題がありませんので、安心してご利用ください。しかし、給料ファクタリングは違法なファクタリングであり、その実態は貸金業に該当します。以下で詳しくご紹介します。

給料ファクタリングとは

まず始めに、給料ファクタリングについてご説明いたします。

給料ファクタリングの概要

給料ファクタリングとは、従業員がこれから受け取る権利のある賃金債権を業者が手数料を差し引いて買い取ることで、従業員は給料日前に給料を現金化できるという仕組みです。

給料が振り込まれると、業者と取り決めを行った金額を業者に支払い、取引が完了します。

給料ファクタリングは給与債権の売買のため、信用情報の審査がありません。そのため信用情報に傷がある方も利用でき、勤務先情報などを送ると、最短即日で現金が振り込まれてくるため日本全国で多くの方が利用していました。

給料ファクタリングのこれまでの経緯

給料ファクタリングは、少なくとも2018年ごろには営業されており、2019年、2020年と利用者が増えるとともに、高額な手数料のため業者に期日までに費用を支払えず弁護士や日本ファクタリング業協会に相談する方が急増しました。

また、給料ファクタリングはヤミ金融業者が運営しており、高額な手数料がかかる等の理由で給料ファクタリングを利用しないよう金融庁や警察で注意喚起が行われ、摘発される業者も出てきました。

給料ファクタリング=貸付とした最高裁判決の登場

警察による給料ファクタリング業者の摘発がある中、2023年2月20日、ついに最高裁でも給料ファクタリングを貸付と認定した判決が出ました。

もともと地裁や高裁でも給料ファクタリングは貸金業であるという判決が出ていましたが、最高裁でも同様の判決が出たことで給料ファクタリングは貸付という規範ができました。

※参考:令和4年(あ)第288号 貸金業法違反、出資の受入れ、預り金及び金利等の取 締りに関する法律違反被告事件

朝日新聞の記事から引用します。

給料の前払いをうたい文句に事実上、現金を貸し付ける「給料ファクタリング」が、貸金業法が適用される「貸し付け」にあたるかが争われた裁判で、最高裁第三小法廷(宇賀克也裁判長)は「あたる」との初判断を示した。20日付の決定で、無登録で貸金業を営んだとして同法違反などの罪に問われた被告の上告を棄却した。懲役3年執行猶予5年、罰金900万円とした一審判決が確定する。

給料ファクタリングでは、給料を受け取る権利(賃金債権)を客が実際の給料額より安く業者に売り、給料受け取り後に額面通り買い戻す。客は現金を早く手に入れ、業者は差額分の利益を得る。金融庁や下級審は「貸し付けにあたる」としていたが、最高裁も同様に判断した。

朝日新聞デジタルより引用

つまり、給料ファクタリングはファクタリングに偽装したヤミ金融業者(違法業者)が行っている貸し付け、つまりヤミ金と同義となります。

日本司法書士会連合会の会長声明においても、ヤミ金融である給料ファクタリングは「大変悪質であり厳しく取り締まるべきである」と声明が出ています。

給料ファクタリングの問題点

では具体的に、給料ファクタリングにどのような問題点や違法な点があるのかご説明いたします。

そもそも個人向け

給料ファクタリングは個人が勤務先に対して有する給与(賃金債権)を買取対象としており、事業者向けファクタリングで扱う債権の種類とは全く異なります。

また、給料ファクタリングは賃金債権を対象としたファクタリングを称していますが、そもそも賃金債権は従業員への直接支払いが原則であり、雇用契約書等で賃金債権の譲渡を禁止している企業もあります。

悪質な取り立て

一部の給料ファクタリング業者は、悪質な取り立てを行うことが問題です。

期日までに支払わないと会社に連絡するといった脅しを受け、高額な手数料を毎月支払わされたケースもあり、利用者の弱みに漬け込んだ悪質な業者と言えます。

高い手数料

給料ファクタリングは、法外な手数料を設けている点も悪質です。4万円を8万円に、6万円を12万円にして返すというような高すぎる手数料を設定しています。

手数料を金利に換算すると、利息制限法の200倍、300倍という利息になります。通常ではまず考えられない利息です。

貸付の利息であれば利息制限法や出資法などで法律の規制はありますが、給料ファクタリングの手数料については規制がないため、ヤミ金融業者は高額な手数料を要求しているのです。

なお、給料ファクタリングは貸金業に該当するのが通説です。そのため、給料ファクタリング業者は無登録営業による貸金業法違反、そして高金利による出資法違反で逮捕されます。

【立場別】給料ファクタリングを利用してしまった場合の注意点

給料ファクタリング業者は違法であり摘発もされていますが、給料ファクタリングを利用してしまった場合の注意点をご紹介いたします。

利用者(従業員)が気をつけること

給料ファクタリングを利用し、期日までに支払いができない場合、給料ファクタリング会社から職場に連絡すると脅されたり、実際に連絡される可能性があります。

しかし、給料ファクタリングは本来違法ですので、不法原因給付などを理由に支払う義務はありません。弁護士や認定司法書士など、違法金融に対応できる法曹に相談することをお勧めします。

給料ファクタリングから請求を受けた企業が気をつけること

賃金債権のファクタリングを根拠にして給料ファクタリング業者が事業者に対し、給与を直接業者に支払うよう要求する可能性があります。

しかし、労働基準法第24条第1項「直接払いの原則」により、労働者の勤め先は労働者本人に直接給料を支払う義務があります。

そのため、従業員が本来受け取るはずだった給料を給料ファクタリング業者に払ってしまうと、事業者は労働基準法違反に該当する可能性が出てきます。労働基準法を遵守し、トラブルに巻き込まれた場合は顧問弁護士等へのご相談をお勧めします。

事業者向けファクタリングは違法?合法?

ここで、社会で一般的に利用されている事業者向けファクタリングも違法なのかと疑問に思われるかもしれません。

しかし、その心配はございません。

事業者向けファクタリングは給料ファクタリングのような貸金業ではなく、売掛債権の売買という純粋なファクタリング事業を行っています。給料ファクタリングのような違法性はございません。

さらに言うと、給料ファクタリングはファクタリング業者ですらありません。貸金業であり、さらに無登録・高利で営業する違法金融業者です。

つまり、同じファクタリングという名前がついているものの、給料ファクタリングと事業者向けファクタリングは「全く異なる事業」となります。

【今回のまとめ】
事業者向けファクタリングは安全!安心してご利用ください
給料ファクタリングはファクタリングを称していますが、その実態は違法な貸金業です。

他方、事業者向けファクタリングは、安全にご利用いただけるファクタリングです。貸金業に該当せず、給料ファクタリングのような違法性もございません。安心してご利用ください。

また、ファクタリングをご検討の際は、ぜひ当社までご連絡ください。ファクタリングについて丁寧にご説明させていただきます。
弊社は事業者様と共に
ファクタリングサービスを通じて
社会へ繋がっていきます。